やさしい世界に魔法はあるよ【灰崎凌兵】 ページ7
*
放課後、一人で遊びに来ていたゲーセン。
とあるUFOキャッチャーの前で、私は足を止めた。
「......あれ？」
私は思わず目を瞬きさせた。
あの灰崎凌兵が、かわいいクマのぬいぐるみを取ろうとしていたのだから。
「チッ！」
灰崎くんが舌打ちする。
クマはアームに引っかかったものの、横に移動している途中で落下してしまった。
「ああ、惜しい！」
私の視線と声に気づいて、灰崎くんが振り向く。私を睨んで、呟いた。
「...誰だ、お前？」
「えっまさかの覚えられてない...ほら、同じクラスの、如月」
「ああ...」
どうやら思い出してくれたらしい。
私はUFOキャッチャーの中を覗き込んだ。
「あと1回やれば、取れそうだよ」
「...いや、いい。帰る」
そのまま店を出ていこうとする彼を引き止める。
「折角ここまで来たのに。いいの？」
「うるせえな。今日はもう金がねーんだよ」
「あーなるほど...じゃあハイこれ、特別にあげる」
「...は？」
灰崎くんは私が差し出した100円玉を息を呑んで見つめる。
しばらくして、彼はぽつりと言った。
「...一発で取れなかったらどうすんだ」
どうしてもこのクマさんが欲しいんだな、と口元が緩む。
私は元気よく言った。
「大丈夫大丈夫、これ魔法の100円玉だから。一生懸命に努力する人に、力を貸してくれるの。」
「はぁ？」
「つべこべ言わないでほら、有り難く受け取る！」
無理やり彼の腕をとって、手のひらに硬貨を置く。
灰崎くんは困惑した表情でそれを見ていたが、諦めたのか機体に投入した。
クマのぬいぐるみを見据える彼の横顔は、真剣そのもの。
予想通り、一発で仕留めることができた。
「良かったね」
私が笑いかけると、灰崎くんはぶすっとした表情で言った。
「...明日、返す」
「えぇ？100円くらいいいって。」
「借りは返さねぇと気が済まねぇんだよ」
「あはは、それもそうだよね。じゃ、また明日ね、灰崎くん」
「...おう」
灰崎くんは小さな声だったが、私の目を見て言った。
「...如月。ありがとよ」
私はにっこり微笑んだ。
「どういたしまして！」
*
純粋異性交遊【万作雄一郎】→←夜陰蝶の夢【風丸一郎太】☆リク
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チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» 私も杳覇さんが大好きです〜〜〜！！（号泣）鬱陶しいなんてとんでもないです！これからも気が向いたら気軽にコメントしちゃってください！続編の方でもどうぞよろしくお願いします！(*´∀｀*) (2020年5月16日 18時) (
レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 豪炎寺くんが最初っから最後までカッコ良すぎる大好きですこのお話！！！ひえええ次回最終回！？ううっ…楽しみに待ってます(´；ω；`) 短期間で三度目のコメントすみません…！！鬱陶しくなったらいくらでも無視して下さって構いませんので！！チェレステさん大好きd(( (2020年5月14日 20時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» あああ二度もコメントをしてくださりありがとうございます！！とても励みになります(号泣)貴方様のような素敵な読者に楽しでもらえるような執筆を目指してこれからも頑張ります！！どうぞよろしくお願いします！！！ (2020年5月14日 11時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - ああああ豪炎寺くんすでに最高っ…！！すみません感情が昂ってしまい思わずコメントしてしまいました……！！続きが凄く楽しみです！！ずっと応援しています！！ (2020年5月12日 22時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» まだ見てくださっている方がいらっしゃったとは…！！！感謝感激です！！ありがとうございます更新頑張ります！！！ (2020年5月9日 10時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チェレステ | 作成日時：2018年6月11日 21時
