光ふる虹の狭間【氷浦貴利名】 ページ2
*
朝、学校に行くと、ある人が目の前を通った。
氷浦貴利名くん。
つい先週、私のクラスに転校してきた人だ。
かなりのイケメンだとクラスはもちろん学年中の女子が騒いでいて、私も彼のことが気になっているひとりだった。
勇気を出して、声をかけてみる。
「あの、氷浦くん、おはよ！」
氷浦くんが後ろを振り返る。氷のように透き通った瞳が私の姿を捉えて、瞬きする。
「ええと...如月さん、だっけ。合ってる？」
「うん、合ってるよ...！」
「良かった。おはよう」
氷浦くんはふわっと微笑んだ。
名前を覚えててくれていたことに、思わず頬が緩む。
「朝、来るの早いんだね。部活の朝練？」
「うん、テニス部なんだ。氷浦くんも？」
「あー、うん。そんなとこだよ。」
氷浦くんは校舎の前まで来ると、足を止めた。
「じゃあ、俺、こっちだから。」
「えっ、グラウンド、じゃないの？朝練なんでしょう？」
彼は苦笑いを浮かべた。
「俺もほんとはそうしたいんだけど...でも、先に俺に用があるのはこっち」
氷浦くんが水道に向かう。
蛇口を捻った後、繋いであるホースを私のところまで引っ張ってきた。
「...これって...水撒きでもするの？」
「当たり」
「ええ！？」
氷浦くんは慣れた手つきで窓や壁に水をかけ始めた。
「はは、驚くよね。俺もよく分からないんだけど...監督の命令でね。サッカーの特訓なんだ」
氷浦くんは笑いながらそう言った。
私は呆気にとられて、しばらく黙ったまま彼を見つめていた。
時々水飛沫が散って、彼の頬や前髪を濡らす。
真面目でいてそれで爽やかな横顔は、いつまでも見飽きる事が無かった。
「...かっこいいなあ...」
思わず、口からそんな言葉が漏れた。
小さな声だったが、聞こえてしまったらしい。
氷浦くんがこっちを見て、ぱちぱち目を瞬きさせる。
そして、いたずらっぽく笑って言った。
「...水も滴るいい男、なんてね？」
どきり、と心臓が大きく脈を打つ。
恋に落ちる、音がした。
*
ティースプーンの余剰【鬼道有人】→←きみの明星に触れる【水神矢成龍】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» 私も杳覇さんが大好きです〜〜〜！！（号泣）鬱陶しいなんてとんでもないです！これからも気が向いたら気軽にコメントしちゃってください！続編の方でもどうぞよろしくお願いします！(*´∀｀*) (2020年5月16日 18時) (
レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 豪炎寺くんが最初っから最後までカッコ良すぎる大好きですこのお話！！！ひえええ次回最終回！？ううっ…楽しみに待ってます(´；ω；`) 短期間で三度目のコメントすみません…！！鬱陶しくなったらいくらでも無視して下さって構いませんので！！チェレステさん大好きd(( (2020年5月14日 20時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» あああ二度もコメントをしてくださりありがとうございます！！とても励みになります(号泣)貴方様のような素敵な読者に楽しでもらえるような執筆を目指してこれからも頑張ります！！どうぞよろしくお願いします！！！ (2020年5月14日 11時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - ああああ豪炎寺くんすでに最高っ…！！すみません感情が昂ってしまい思わずコメントしてしまいました……！！続きが凄く楽しみです！！ずっと応援しています！！ (2020年5月12日 22時) (レス) id: 14ae3b839b (このIDを非表示/違反報告)
チェレステ(プロフ) - 杳覇さん» まだ見てくださっている方がいらっしゃったとは…！！！感謝感激です！！ありがとうございます更新頑張ります！！！ (2020年5月9日 10時) (レス) id: 2dc5e30747 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チェレステ | 作成日時：2018年6月11日 21時
