素敵な出会い ページ50
*
あのつぼみだった桜の木は、
すっかり緑が生い茂っていて。
熱い日差しも、覆い隠してくれる。
まだ肌寒かったあの日、
つぼみだった想いを抱えた私たちの間に流れた
濃密な空気は影を潜め。
まるで夢だったかのように、
さわやかな風が吹いている。
花開いてしまった今のほうが、
どこかさっぱりとした空気なのが不思議だけど。
それでも、
時々恥ずかしそうに交わる瞳の奥に
ゆらゆらと揺らめくほのかな光を感じれば、
あの濃密な空気は、
夢なんかではなかったと
思い知らされる。
そう思ってしまえば、
背中に控えめに添えられた手から
暖かさとは違う感覚も伝わってくるけど。
今は、
今この瞬間は
気にしないことに決めた。
「一人にしちゃうけど、おれ、
ちゃんといっぱい連絡するから。」
電話もラインも、いっぱいしようね。
なんて、
バレーボールのことで頭がいっぱいになっちゃうだろうから
無理しなくていいのにな。
「Aちゃんの声聞くと、
もっと頑張れるから」
そう言われてしまっては、
嬉しくて。
電話しなくていい、なんて
強がりすら言えなくなってしまう。
遠慮がちに、
でもしかっかりと抱きしめてくれる、
その腕の中は、
ことのほか居心地がよくて。
もうすぐ暑い夏がやってくる。
それが過ぎれば、
きみと出会った季節が再び巡ってくる。
ふわりと夏の空気をはらんだ風に、
あの日のきみを思い出す。
窓際からふたつ空けた一番後ろの席。
そのとなり。
窓から差し込む光を背に
恥ずかしそうに笑う眩しいきみの笑顔が、
照れくさそうに咲う
今のきみに重なった。
わたしと祐希くんの
長いようで短い、
淡いようで鮮烈な、
素敵な素敵な出会いのおはなし。
おはなしのおわりはいつだって
あたらしいおはなしのはじまりで。
ねぇ、もう一個お願いあるんだけど…
なぁに？
うん…、うん、あのね、…えっと…
うん？
…、ちゅー、してもいい？
青い空に、
ちいさなちいさな
愛おしい音が
吸い込まれていった。
終わり
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yu-ri(プロフ) - もるきろくんさん» コメントありがとうございます！気に入っていだけて嬉しいです💕励みになります🥰更新頑張ります！ (2023年1月24日 13時) (
レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
もるきろくん - いつも楽しませてもらってます！これからも頑張ってください！ (2023年1月24日 13時) (レス) id: afbd0715cd (このIDを非表示/違反報告)
yu-ri(プロフ) - あや🤍さん» コメントありがとうございます！おまたせしてしまってごめんなさいm(_ _)mお話準備中ですので、今しばらくお待ちくださいませ！更新頑張ります！ (2023年1月3日 12時) (レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
あや🤍 - 更新まってます！ (2023年1月3日 12時) (レス) @page11 id: ff354b7dbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu-ri | 作成日時：2022年11月24日 17時
