龍神さんと。3

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目的地も言わず

さっさとその場から移動し始めるから、





「ねぇ、ちょ、小川、か、彼女さんは？」





むこうにいるんでしょ？と後ろを指させば、

未だに未練がましく小川の方を見てる女子の集団が見えた。






「お前、馬鹿なの？

　彼女いんのにお前と出かけるわけないっしょ」






…ごもっとも。


そこんとこ、まともで良かったわ。






「それに、囲まれててめんどくさかったし」

「なるほど。ちょうどいいところに私がきたと」

「ん〜、まぁ、そうじゃないけど、そんな感じ？」

「どっちよ」






さあね、ってこっちも向かずに言って。


それからは、だんまりで。






しかも、

繋いだ手は離される気配がない。





小走りでなければ置いていかれそうな速さで歩く彼。




いつもは歩調を合わせてくれてたんだなと、

こんな時に気付く。






どこ行くんだろ。



ってかさ、さっき、名前で呼ばなかった？

気のせい？






なんて、聞くこともできない雰囲気で。




でも、ちょっと…、


止まって欲しい。





久々のヒールは、こんなに速く歩くのには向いてなかったみたいで。



悲しいかな女子力の低下も感じる。





「小川…、ちょっと、」





恐る恐る声をかければ

ようやくその足が止まる。





少し開けた広場になったそのエリアに

丁度空いていたベンチを見つけて。





無言でそこに座らされてしまった。








全然視線が合わないから、


小川が何を考えてるのか




さっぱりわからないままで。









ちょっとだけ、不安になる。

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