スーパースターのきみ

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まるで

カメラを向けられていることに気が付いていないような


無防備な私の顔。





今よりちょっと幼い、かな？


そうでもないか。




急に、その時のことが鮮明に思い出されて。







国を代表するようなアスリートが本気で打ったサーブを顔面で受け止めた時の記憶。




痛みを感じるよりも早く気を失ったのは



幸か不幸か。





このかわいいわんこと出会えたから

幸せに違いないけど。






あの後

だまされてるかもと思いながらも、




会いたい気持ちに負けて




恐る恐る入った関係者通路。







扉をそっと開ければ、





中を見回す暇もないほどの速さで



まさに、




こちらへ飛んでやってきた彼。









満面の笑みで、





「試合どうだった？おもしろかったっしょ？」





なんてしっぽ振って




じゃなくて、





聞かれたりもしたな


と、懐かしく思う。










「やっぱ、おれ、写真撮るのもうまいよね〜」




そんな懐かしい思い出に浸っていると、





わたしのかわいいわんこが


そう言って妙なマウントを取ってくるから。







そうだねと、


適当に答えておくことにする。







すると、






「なにそれ、心こもってなくない？」






と、

急に起き上がって


ぎゅう〜っと体重を乗せて抱きついてきて。







「重い重い！」







手をパシパシたたいてもなかなかやめてくれないから。







「もぉ！

　祐希くん、荷物少ないからって遊んでないで、

　こっちも手伝ってよ。」





と、上目遣いでにらめば。






いったい何が嬉しいのか、


ふにゃふにゃと笑いながら







「Aちゃん、ほんとかわいいね。」







とか、何とか言ってくるから。








会話になってないんですけど、







と、ちょっと、恨めしくなってくる。

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