スーパースターのきみ

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眼の前に、



その魅力的なものをちらつかされてるというのに、














「…いや…？」














ためらいがちな響きで聞こえてきたそんな言葉に、





少し、










苛立って。














ぎりぎりで保っていた一線を、







こんなにも


軽々と越えてきたくせに。










誰も入ってこれないように



鍵をかけたのだってわかってるんだから。














そしてそれは、







私も望んだことなのに。















もう、明日で大会は終わり。













今まで通りの現実が戻ってくる。
















そうすれば、




こうして逢瀬を重ねることなんて、






できなくなるってわかってる。














だから、証が欲しい。
















〈ともだち〉なんかじゃない、








あなたが



わたしが









互いに求めあったという、












証拠。
















キスでいい。





キスがいい。
















たとえ、




本当の気持ちなんてなくても構わないから。










この一瞬、








互いの欲望を


唇を










重ねられたら。














その思い出だけ持って、



これから先、






生きていけるから。
















ぎゅっと強く、




瞼を閉じて。











快楽に溺れそうになる思考をクリアにする。
















「ぃや、じゃ、ない」















それでももう、




呂律も回らなくなってきている舌で








ようやく言葉を紡げば。

















それは、








自分でもあんまりだと思うくらい、















キスを強請る声に






聞こえた。

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