スーパースターのきみ

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『今日は、大変だったね』





なんと言って話を切り出そうか迷っていると、

そうやって話を振ってくれるのに、





「、ん、うん、そう、そうかな？

　まぁ、いつもこんな感じだし」



そんな、面白みのない返事しかできない。






『ほとんど寝てなくない？』


「まぁ、うん、大丈夫。

　途中で仮眠とったから。」


『そっか』




それならよかった

なんて、





やんわりと



それでいて



デジタル変換されても伝わってくる


甘い雰囲気をまとった声は、







直接耳から入ってくる分



俺の脳を強く刺激して。









ふわふわと、


まるでお酒でも飲んだときみたいに

いい気持ちになってくる。









あぁ、Aちゃんの声、好きだなぁ。








「会いたいなぁ」








それは、心の中でつぶやいたはずだったのに。






『…っ、』






電話の向こうで


彼女が軽く息をのむ音が聞こえて、






声に出してしまっていたことに気づいた。








「あ、ご、ごめ、今のは、その」







なんて、言おうか。


こんなことで彼女に負担をかけたくはないのに。







会いたい、



なんて言われたら





困らせるってわかり切ってるのに。







『わたしも…あいたい、よ、っ、』







絞り出すような苦しい声は、


最後はもう、




言葉にならないみたいで。








電話口で泣かせてしまったことを


申し訳なく思う。











こんなに好きなのに、






初めて本気で好きになった人なのに。









やっぱり俺は、



女の人を泣かせることしかできなくて。











こんなに大切な人も泣かせてしまうなら、




俺はもう、






恋をする資格がないんだと










悟った。

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