スーパースターのきみ

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その時、


なけなしの理性が首をもたげて。








彼女の瞳が


声色が


表情が







肯定なのか


否定なのか







きょろきょろと瞳はせわしなく動いて、





その感情を


読み取ろうと観察する。









それでも


読み取れる情報には限界があるから、










「…いや…？」










つい、言葉で確認しようとしてしまう。









それは、初めて手をつないだ時と似て。






じっくりと距離を詰める時間がなくて


焦ってるとも言える。










今まで、




こんなに早く


触れたいと思うことなんてなかった。









そもそも、



自分から触れようと思うことのほうがすくなかったんだから。










触れたくて






その視線を独り占めしたくて








その、


さらにもっと、先まで。










こんな短期間で


こんなことまで欲しがる俺を、




チャラいやつだと思ってるよね。










それでも、







どうしても、












日本を発つ前に


あなたに思いを伝えたくて。











こんなにも恋しく思う人に、



覚えていてほしくて。









あわよくば、



もっともっと深く触れ合いたいと願ってしまう。












そんなどうしようもない俺だけど、



あなたが本当に嫌がることはしたくない。










絶対に。










返答次第では、



きっと引き返せるから。











最後に残った理性は、




取るに足らない俺のプライドで。













あなたを傷つけるくらいなら、






ちゃんとあなたを諦める。












…諦める努力を、





するから。













その首を、


軽く横に振ってくれるだけでいい。







そうしたら、




かならず


大切にするから。









どうか。









お願いだから。











その、俺の必死の願いは、









眉根を寄せて



そっと閉じられた瞼に









遮られてしまった。

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