11 ページ11
*
帰ってきた返事は短く。
そのトーンは、いつもより低い。
うん、不穏！
まだホントには機嫌直ってないよね。
でも、今しか言うチャンスはないから。
「直前で申し訳ないんだけど、
お仕事が入りそうなの」
なんて、見え透いた嘘をつく。
架空のミーティングを作り出し、
開始時間も流動的だから、とかなんとか。
「だから、お食事、二人で行ってきて？」
私の苦しい言い訳を、
無言でじっと見つめながら聴いている祐希くん。
その眼差しからは今のところ、
正も負も、どちらの感情も読み取れなくて
ちょっと焦る。
この、
喋ってる相手の顔を
じっと覗き込みながら見つめるの、
妙にドギマギしてしまうからちょっと自重してほしい。
「Aちゃん、」
永遠かのように感じられた
ほんの数秒間の沈黙を破り、
祐希くんが口を開く。
「ごめん」
「俺、めっちゃ態度に出てたよね、ごめん」
まさか、
祐希くんから謝られるなんて思ってもいなかったから。
次の言葉が出てこなくて、
金魚みたいに口をパクパクさせてしまう。
「っふは！」
どうやらそれがツボに入ったみたいで。
「ちょ、なん、それwww」
とかゲラゲラ笑いながら、
口をパクパクさせて
「Aちゃん、こんな顔だったよw」
と、全力でいじってくる。
ほんっと、ゲラなんだから。
それに、
…そんな顔してないし。
憮然とした表情でみつめれば、
「ちょっと、その顔、
だめ」
ふにゃりと笑って、
知らず突き出していた下唇を
ちょんちょんと右手の親指でつつく。
「キス、したくなっちゃうでしょ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 784人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yu-ri(プロフ) - 〇〇さん» コメントありがとうございます！私も大好きな二人のお話、気に入っていただけて本当に嬉しいです！また動き出すか、別の二人になるのか、今はまだわかりませんが、またお話書き始めたら読んでいただけたら嬉しいです！ (1月27日 21時) (
レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - ピュアな2人のお話、大好きです。またお話が動き出す日を楽しみにしています。 (1月27日 20時) (レス) @page38 id: 291369c3be (このIDを非表示/違反報告)
yu-ri(プロフ) - 里佳子さん» お読みいただいてありがとうございます！好きと言ってもらえるの、とっても嬉しいです！また、他のお話も気に入っていただけたら嬉しいです♡ (12月2日 23時) (レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
里佳子(プロフ) - 完結、お疲れ様でした。yu-riさんの文章がとても好きなので、他作品も、次回作も楽しみにしております！ (12月2日 22時) (レス) @page38 id: 52de404cd6 (このIDを非表示/違反報告)
yu-ri(プロフ) - ユウコさん» ずっとお読みいただいてありがとうございました！おかげさまで最後まで書き上げられました。感謝感謝です！続編はいつになるかわからないですが、こちらとは違うお話を準備中ですので、そちらも読んでいただけたら嬉しいです🙇♀️ (11月29日 22時) (レス) id: b9365aa7af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yu-ri | 作成日時：2023年10月26日 23時
