A l i c e …

#7 ページ8

side Ryunosuke



連日のドラマ撮影が終わって、久々のオフ。




家に何も無いしせっかくのオフなんだから朝食でも食べに行こうと思って出かけたらぶつかったんだ、君と。



わざとじゃなくて、本当にたまたま。




友達からメールが来て、返信をする事に夢中になっていたら衝突してしまった。




それが偶然、君だった。





「朝の子だよね……？」




『……』





雰囲気が全然違って、間違えてたらどうしようと思ったけど




端に置いてあった、ヒビの入ったスマホで確信した。




…本当は3回目なんだ、君を見るのは。





だから無性に心配したし、気になった。




桜の木の下で泣いている君を見ていたから。




悲しげに笑う君に目が止まってしまったから。





10メートルほど先で涙を拭った君はやけに悲しい瞳をしていた。




だから、連絡先なんて渡してしまったんだ。





こんなこと、軽くやったら駄目なのわかってるのに。




気が付いたら渡してて。





初めて見るような雰囲気を装ったけど、本当は2回目で正直驚いた。





買い物帰りに偶然見かけた君と、
偶然衝突してしまった君と、





またこうして偶然出会うなんて。




『まさかぁ…』




そして、そう笑う君はまた静かに涙を流していた。




「偶然、ですね。」




朝会った時よりも格段に大人っぽくて、でも全然、嫌な感じはしなくて。





キラキラ輝くイヤリングも、綺麗だって思った。




随分泣いたのか化粧は少し落ちてしまっているみたいだけど、すごく素敵だった。





でも、





「なんでこんなところに…」





なんでこんなところに居るのかって？





……それはこっちが聞きたいな。





朝衝突した時は制服を着た学生だった。





何でこんなところでカクテル片手に泣いているの？




高校生…だよなぁ？



・


・

#8→←#6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す