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てかこの格好…
「ほんっと大人にしか見えないね?」
「うわっ、神木さん!」
下から上に目線を移しながらクスッと小さく笑う。
洗面台から出て、リビングに行く途中
服を気にしていたからかリビングから出てきた神木さんに気付かなくてぶつかりそうになった。
「じゃ、俺も準備して来るからちょっとだけ待ってて?」
そう言うとニッコリ微笑んで自室のドアを閉めた。
…朝帰りしたみたいだな。
なんて思ってしまった自分が恥ずかしい。
自分と神木さんとの温度に差を感じて更にふくらんだ胸の内の違和感を抑えるのに必死だった。
「…うわ、本当に近所だ……」
「ふふ…じゃあ先にあそこの駐車場まで行って待ってて?2分後くらいに行くからね。」
マンションのエントランスの窓から見慣れた景色が見えて驚いた。
こんな近くに神木さんが住んでいたなんて。
言われた通りに駐車場まで行って、隅の方で柱に寄りかかって神木さんを待って、時間差でこちらに向かってくるマスク姿の神木さんをチラチラ見ていた。
隠れてコソコソとか、2人だけの秘密みたいで、一瞬だけでもこんな幸せを味わうことができて、夢みたいで。
こんな夢みたいな現実が、もうすぐ覚めてしまうんだと思うと悲しくなった。
「どうぞ?」
淡いブルーの車のドアを開けてもらって、背中を軽く押されながら助手席に座らされる。
「えっと、東口の方でよかった?」
「はい…あの、本当にいいんですか?こんなこと…。」
「大丈夫だっていってんじゃん。さ、行くよ〜」
エンジンのかかる音がして、車が発車して
家が見え始めるまではあっという間だった。
「そこの角を右に曲がった所です。」
「ん、本当に近いね?」
ハンドルを回しながらふわり微笑んだ神木さんと目があって、ドクンと胸が鳴った。
「早坂早坂…お、ここだ。」
表札を見て、ぴったり家の前で止まってくれて
「なんか、男の一人暮らしに付き合わせちゃったみたいでごめんね?」
別れ際に神木さんも車から降りてくれて、いえいえと慌てて否定する私に口角を上げて笑うんだ。
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☆☆☆ - とても面白かったです。神木さんやさしすぎて、ニヤケテきちゃいますw頑張ってください。 (2016年5月26日 19時) (レス) id: 6a604ade35 (このIDを非表示/違反報告)
miork(プロフ) - Aka3926さん» ありがとうございます(^^)7月ぐらいまで忙しくて中々更新出来ないかもしれませんがよろしくお願いします; (2016年5月22日 0時) (レス) id: bcd20fc75e (このIDを非表示/違反報告)
Aka3926(プロフ) - とても面白いですー。更新楽しみにしてますねー。 (2016年5月21日 11時) (レス) id: eddc991718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miork | 作成日時:2016年5月6日 10時