97話 ページ47
指定された場所に着くと、そこにはやはり高木たちがいた。
草むらに倒れている人が1人…多分大貴くん。
大貴くんの周りには3人、それと私の前には高木といつもの2人。
少なくても6人入る。
誠矢「よくきたな。」
私に気付いた高木が近付いてきた。
私は逃げも近付きもせず、その場で待った。
誠矢「アイツがもう俺らの邪魔するなって言うから。
お前がいなくなればお前にも彼女にも手は出さないって言った。
そしたら、俺がお前らを止めるとかカッコつけてあのざま。
本当にバカだよな。」
倒れている大貴くんを指さしながら笑う高木。
それにつられ、周りの人達も笑っていた。
誠矢「殺されたくないならこいって言ったけど止めた。
お前が俺らの相手してくれるなら、彼氏許して解放してやるよ。
もちろん、今ここで。
お前が断るなら、彼氏をここで殺る。」
私は目を閉じ、深呼吸をした。
A「そんなん聞かなくても決まってるでしょ。」
目を開け、高木の方を向いた。
大貴「A、ダメだ…。
俺はいいから、今スグ逃げろ。」
微かに大貴くんの声が耳に届いた。
そちらに目を向けると、手を震わせながら私に手を伸ばしていた。
A「そんなにボロボロなのに、見捨てられるわけ…。
大丈夫、これ以上迷惑かけないから。
大貴くん、別れよ？」
私の本当の気持ちなんてどうでもいい。
大貴くんが生きてて、大貴くんが幸せならそれでいい。
私はもう、覚悟ができてる。
A「いいよ。
好きにしなよ、私を。」
それを聞いた高木は、私を草むらへ押し倒した。
遠くで大貴くんの叫ぶ声が聞こえる。
お願い…早く…
誠矢「お前が言ったんだからな。」
私は頷き、目を閉じた。
ボ「高木さん！」
ボクシング部の誰かがそう叫んだ。
誠矢「は？なんでだよ！」
私はそんな彼らの姿に笑が零れた。
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作者名：結城奏空 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyaniotabosyuu/
作成日時：2018年1月10日 20時
