72話 ページ22
A「ただいまー。」
大貴「おじゃましまーす。」
玄関に入ると、慧が仁王立ちで待っていた。
慧「君たち、靴脱いでここに正座しなさい。」
慧は自分の前を指さしてそう言った。
私たちは一度目を合わせ、首をかしげた。
慧「いいから。」
慧はまだその場から動こうとしない。
仕方なく指示に従うことにした。
靴を脱ぎ、大貴くんと並んで慧の前に正座した。
慧「今、何時でしょう。」
大貴「えーっと。」
大貴くんは自分の腕についている時計を見た。
大貴「10時、ですね。」
大貴くんがそう答えると、慧は大きなため息をついた。
慧「心配したんだから。
この時期に、なんの連絡もなかったから。」
慧は相当心配していたようで、今も左手でスマホを強く握っていた。
A「ごめんね、慧。」
私がそう謝ると、慧は笑顔になってくれた。
慧「ま、2人とも無事だったからいいよ。
で、大ちゃんはなんでうちにいんのかな？」
A「もう遅いから泊まってってって言ったの。」
慧「ふーん。」
慧はすごく意地悪な顔を私たちに向けた。
慧「大ちゃん、Aにあーんなことやこーんなことしようとか考えてる？」
大貴「はーーー！？」
大貴くんは立ち上がり、慧の肩に手を置いてそう叫んだ。
慧は肩を上下に動かしながら笑っていた。
慧「ま、安心して。
うるさくしても気に
大貴「あーーもーー、うーるーさーいー！
もう行こ、A。」
A「う、うん。」
私は大貴くんに手を引かれ、自分の部屋へ向かった。
後ろから見た大貴くんの耳は相当真っ赤だった。
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作者名：結城奏空 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyaniotabosyuu/
作成日時：2018年1月10日 20時
