70話 ページ20
駅から家まではあまり街頭のない道だった。
いつもは暗くて少し怖い道も、大貴くんがいれば大丈夫。
でも、少し怖いからいつもよりも手を強く握っていた。
大貴「A。」
A「ん？」
大貴「冬休み、いっばい遊びに行こう。」
A「うん。」
大貴「冬休み終わってもいっぱい遊ぼう。」
A「うん。」
大貴「大学同じところ行こ。」
A「それは…。」
大貴「だめ？」
A「いや、行きたいけど。
学力の差が…。」
大貴「俺が教えてあげるよ。」
A「ほんと？」
大貴「ほんと。
それでいっぱいいろんな所行って、たくさんの時間を一緒に過ごして。
ずっと一緒にいよ。」
A「え…。」
大貴「いつか、俺の奥さんになってね。」
暗い道に1台の車が通った。
一瞬照らしてくれた大貴くんの笑顔は、とてもカッコよかった。
いつもの可愛らしい子供のような笑顔ではなく、大人っぽい笑顔。
いつもと違う大貴くんにドキドキが止まらなかった。
大貴「A？」
名前を呼ばれ、私は大貴くんの方を向いた。
私は歩くのをやめ、大貴くんに抱きついた。
大貴「え？」
突然の事でびっくりしたのか、間抜けな声を出す大貴くん。
A「大貴くん。まだ一緒にいたい。」
は？私、何言ってんの？
A「ごめん、嘘。」
私は大貴くんから離れ1歩足を出した。
すると右手を引っ張られ、大貴くんの匂いに包まれた。
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作者名：結城奏空 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyaniotabosyuu/
作成日時：2018年1月10日 20時
