仲直り ページ42
京「…別に。」
剣城は長い沈黙の後、吐き捨てるように呟いた。
けれどその瞳は明らかに揺れている。
優「縁を……？
…そんな事、許すと思うのか!?」
優一さんが怒鳴ると、剣城は小さく肩を揺らした。
まるで、普通に怒られて怯える子供のように。
まずいな…。
あたしは逆に焦った。
武器を奪えたはいいとして、追い詰められた剣城が何をするか分からない。
恐らく、優一さんに嫌われる為なら何でもするだろうから。
どうしたものかと思案すると、小さく息を吐く音が聞こえた。
剣城が臨戦体勢に入ったのかと身構えたが、違う。
その本人は顔に微笑をたたえながらきっぱりと告げた。
優「じゃあ、俺が首長を辞めればいいんだね。」
!!
そうか…優一さんが首長を辞めれば、また剣城は優一さんに会える!!
…それにしても思い切った決断…
京「は…バカか!?
そしたらお前は死ぬんだぞ!?」
優「分かってるよ。
でも、首長という立場が京介を苦しめているのなら、こうするしかない。」
え…？
死………!!??
優「首長は吸血鬼の全てを知っているんだ。
首長という地位から解き放れた時、大きな反乱因子になりかねない。
だから、首長を降りるのは死を迎えるのと一緒なんだよ。」
優一さんは自分がした死の決断をまるで他人事みたいにつらつらと説明した。
そんな…そんなのって……
京「………。
…さない。」
あ「え………」
剣城は小言で何か言った後、拳を強く、固く握りしめた。
まずい…!!
あ「ゆうい……!!」
優一さんに呼びかけることもままならないまま、剣城は優一さんの元に走り、その拳を
優一さんの顔面すれすれで止めた。
京「…俺は……何を望んでたんだろうな…
兄さんにまとわりつく首長って鎖を外す為に今までやってきた…
それが兄さんを殺す事になるなら何の意味もない…
だから!!」
剣城は拳を徐々に緩め、優一さんの体にそっと当てた。
京「…許さない。
首長を辞めるのは、絶対許さない…!!」
剣城は肩を震わせて、優一さんの服を涙で濡らしていく。
優一さんはそんな剣城を強く、包み込むように抱き締めた。
小さな二人の兄弟が、数年間の時を経て、また一緒になった瞬間だった。
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闇猫(プロフ) - 投票です！私、すっごいマサキ押しです///// (2013年8月31日 13時) (
レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 今アンケイト結果を見た。京介ーーー。まっ、いいっかまーくんだしー この小説、ちょーおもしろいー これからもがんばってけださいー (2012年8月28日 2時) (レス) id: c5033fad57 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 投票です。ライバルが京介がいいです (2012年8月28日 1時) (レス) id: c5033fad57 (このIDを非表示/違反報告)
帆ノ夏 - 27だけどぉ〜(汗 ずっと読ませてもらってます// 続編等希望です !! (2012年8月27日 12時) (レス) id: 23aea87b80 (このIDを非表示/違反報告)
ミカエル(プロフ) - とうとう来た！！！このシーンがああぁぁ！！！ (2012年8月26日 13時) (レス) id: d4e3ea5cc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2011年11月1日 17時
