対面 ページ41
視界の隅に赤い液体が舞った。
目の前は黒しか見えなくて、あたしは呆然とする。
痛みも切り落とされた部位も感じないまま、あたしは目の前に居る人を呼んだ。
あ「優一さん!!」
顔は剣城を向いていて見えないけど、
黒いスーツを着た後ろ姿は紛れもなく優一さんだ。
右手には剣城の剣の刃が血に染まりながらしっかり掴まれている。
京「にいさ………」
剣城は呆然と呟いた後、声を荒げた。
京「どうしてお前がここにいる!!」
その声は刺々しいのに、どこか悲痛な響きがあった。
優一さんは一度振り返ってあたしを見た後、剣城に向き合う。
優「兄として、京介を止めに来た。それだけだ。」
手から滴る血は絶対の苦痛を優一さんに与えているはずなのに、
優一さんは微塵も態度に現さなかった。
京「黙れ!!俺には兄なんてもう居ない!!」
剣城は長年の思いを吐き出すように叫ぶ。
でも、その片手に握られた柄を動かすことはなかった。
動かし方によっては優一さんの手を傷つけることも切り落とすことも可能なのに。
二人を繋ぐ剣はしっかり握られたまま動かない。
剣城は…やっぱり優一さんを今でも大事な兄だと思っているんだ…。
なのに、
京「今までずっと放置して、会いたくても会えなくて、ずっと一人で生きてきたんだよ!!
全部、全部、吸血鬼のせいだ!!」
吸血鬼の、せい……
剣城が柄に力を込めた瞬間。
ガッ!!
あたしは刀の峰で剣城の手を思いきり殴った。
切る能力が無くとも、打撃としては十分な峰は、剣城の手を柄から離すのに成功した。
京「っ!!」
優「A…ちゃん……」
床に落ちた大剣を手で脇に避けてから、あたしは刀の切っ先を剣城に向けた。
あ「吸血鬼のせいなら、お兄さんを憎む必要は、ない。」
京「……こいつも、吸血鬼だ……」
どこか躊躇った様子で、口ごもる剣城。
…やっぱり……そうか。
あ「これで、優一さんと完全に関係を絶つ気だろ？」
優「え……？」
京「……。」
あ「ここまでやってしまった自分の兄が吸血鬼の首長とバレれば、必ず優一さんに被害がいく。
優一さんを深く傷つけたくないお前はここで優一さんを最小限傷つけ、関係を絶とうとした…
違うか？」
あたしの推測に、剣城はゆっくり息を吐いた。
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闇猫(プロフ) - 投票です！私、すっごいマサキ押しです///// (2013年8月31日 13時) (
レス) id: 3e9341991a (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 今アンケイト結果を見た。京介ーーー。まっ、いいっかまーくんだしー この小説、ちょーおもしろいー これからもがんばってけださいー (2012年8月28日 2時) (レス) id: c5033fad57 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 投票です。ライバルが京介がいいです (2012年8月28日 1時) (レス) id: c5033fad57 (このIDを非表示/違反報告)
帆ノ夏 - 27だけどぉ〜(汗 ずっと読ませてもらってます// 続編等希望です !! (2012年8月27日 12時) (レス) id: 23aea87b80 (このIDを非表示/違反報告)
ミカエル(プロフ) - とうとう来た！！！このシーンがああぁぁ！！！ (2012年8月26日 13時) (レス) id: d4e3ea5cc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬令瑠菜 | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/runarunaterulove/
作成日時：2011年11月1日 17時
