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22. ページ22

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「え…?」





『…行くよ』





「え、ちょっ」





何も返事してない私の腕を引っ張って、素早くお会計を済ませ店を出た。





私の方は振り返らないまま、掴む手の力だけがどんどん強くなっていく。





「ちょっと海!離してよ!」





私の声は聞こえてるはずなのに、1度もスピードと力を緩めようとしない。





そのまま連れてこられたのは、私の馴染みのある場所。





覚えのある場所。





忘れるわけがない、記憶の中に居続ける場所。





そこは、海の家だった。





「…ねぇ、なんで…」





『入って』





有無を言わさないその表情は、何を考えてるのか全く読み取れない。





海は昔からそうだった。





たまにいきなり訳分からない行動をとっては私を困らせてきた。





別に私はそうやって海に振り回されるのは嫌いじゃなかったし、むしろ好きだった。





でも今は、私と海だけが良ければいいんじゃない。





海に彼女がいなければ、私にとって好都合すぎる展開だ。





でも現に、海には " 佐野ひなた " がいて、私はただの浮気相手に過ぎない。





私は浮気相手になりたいわけじゃないし、意識的に " 佐野ひなた " を傷つけるようなこと、したいわけじゃない。





だから、少しは " 佐野ひなた " の事を考えなくてはならなかった。





このままだったらただの浮気相手で終わるのは目に見えている。





『なに考えてるの?』





見上げると、玄関の扉と海に挟まれていた。





ダメ。





このままじゃダメなの分かってる。





早く逃げなきゃ、





『…俺の事だけ考えて』





そんな心から思ってない考えは、海からのキスで頭の中から消えていった。


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作者名:ましゅまろ | 作成日時:2020年3月19日 1時

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