勿忘草 (ページ20)

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『Aありがとう、今日ほんとに』

お礼に奢ると、モールの中にあるカフェに入った。

海は、2時間ほど悩んだ挙句可愛らしい雑貨といくつかの型抜きを買っていた。

それで分かったことは、" 佐野ひなた " はThe 女の子ってものが好き。
あと、お菓子作りが得意。

…驚くほど私と真逆だ。

海の本当のタイプはどっちなんだろう。

" なんで私なんかと付き合ってたんだろう "
" なんで "佐野ひなた " なんかと付き合ってんだろう "

海に合ってるのは、どっちの言葉なんだろうか。

『A？』

「…え？」

『なんかぼーっとしてたから』

「あ…いや、なんでもない」

『そ』

そうひと言言うと、机に置いてあったスマホをいじりだした。

『なんかさ、付き合ってた時思い出した』

「………え？」

『いや、付き合ってた時もAは文句言わずに何時間も俺に着いてきてくれてたなぁ…って』

あぁ、そうか。

海が私にこんなこと堂々と言えるのは、もう私が完全に過去の人だから。

サークルに入ると決めた日。

あの日に2人で話したことで、海の中ではスッキリしたんだ。

海の頭には、もう " 佐野ひなた " しかいないんだ。

今更私がどう足掻いても、もう完全に過去の人。

海の眼中に入れる隙なんか、1ミリもなかったんだ。

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