自分と他人の幸福論ｰ3ｰ《mmkj》

137. ページ46

·


康二side





俺はまだ半人前。
カメラマンの一流が、どこからなのかハッキリ分からないけど、まだまだやと思う。





何も成長してないわけやない。
だけど、照兄を基準にしたとしてもまだ下や。





ラ「康二くんって、自己評価低いって言われません？」





康「え…？」





ラ「人に褒められて、素直に"ありがとう"って言ったことないですよね？」





康「…え、え？」





ラ「身の回りで何か嫌なことが起こったら、全部自分のせいだってなんでもかんでも自分のせいにしません？」





康「する…」





ラ「自己評価低すぎますよ、康二くん。というか、自己否定がひどい。」





康「いやだって、ほんとに俺のせいだから…」





ラ「康二くんがそう思ってても、周りから見たらそうじゃないことの方が多いと思います。

カメラのこともそう。
あんなに素敵な写真撮っといて半人前ですか？

半人前のカメラマンが撮った写真に、いいね3万も付きません。

フォロワー5万人もいません。

僕のマネージャーが目を付けて、わざわざ日本に来てもらってまで撮ってもらおうとしません。」





早口で捲し立てるラウールに、呆然としてしまった。

言ってくれる言葉は嬉しいことばかりで、ラウールの前でニヤニヤする訳にも泣く訳にもいかないから、それを全部ジュースと一緒に流し込んだ。


·

138.→←136.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す