【文豪ストレイドッグス】明日の月は綺麗じゃなきゃ駄目なんです。 (ページ7)

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「はぁー、もう、国木田君も非道いよね。全然信じてくれないもの」

「それは…」

はは、と苦笑いするが内心、日頃の行いが悪いからなのでは、と思ってしまった。
まぁ、口には出さないが。

あの騒ぎから少し経って、今は調査に出ている。
乱歩さんは社長と共に出張中で留守。
つまりは乱歩さん抜きで時間を解決しなくてはならなかったたのだ。

「と、というか…なんだか凄い事件を依頼されましたね…」

参考資料をペラリとめくる。
そこに映るのは、身体中、血が服に染み付いて真っ赤になっている…血の水溜りの上に倒れている死体２つ。
男女で、男の方はあからさまなブランドものの服を着ていて、高価そうな腕時計を付けていた少し小太りな人。
女の方は上品そうなワンピースにカーディガンと何処かへ出かけるような格好。
二人は恋人でこれから逢引(デェト)って云う線もあるかもしれない。

「これは……」

「な、何か判りましたか……？」

この写真を見るだけで精一杯なのに、じぃーとその資料を見つめる太宰さん。

「…この男女、どうも恋人同士ではなさそうだね」

「そうなんですかぁ…………えっ」

「女性の方は二十代なのに爪は飾ってなくて服装も大人しめで色も地味。…だけど対照的に男性はゴリゴリのブランド品で固めた、見た所五十代男性。…年の差凄過ぎやしないかい？」

中々な推理で凄い…！と感心していた所なのだが、最後が要らなかったな。はい。

まぁ、こんな麗人に惚れられずには居られなかったのかもしれないけれどね。と付け足すように口を開いた太宰さん。

そうだ。今時年の差婚も珍しくはないのだから。
あ、話がずれてしまった。

「そして一番の理由はこの男性の腕時計。防水機能はなかったようだね。」

ほら、と渡された資料。そこに映るのは死体のあった現場と実際の死体。その男女の死体の端にちらっと映る男性の腕時計。

……腕時計は20時4分を指していた。だが、そんなの目を凝らして見ないと見えないような大きさだった。

「で、でも何故これが一番の理由…」

「腕時計に映る時間は20時4分。発見時刻は20時31分。結構早くに見つかったんだね。そして女性の端末の最後の電子書面(メール)は20時18分。それもその電子書面を送った相手は恐らく彼氏さんらしいよ。それに彼女、左手薬指に指輪つけてるしね」

と、平然と答える太宰さんに何処か違和感を覚えた。