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ひりひりと痺れる頬を見ようとするが、当然のように見えなく、諦めた。

おそらく今の私の頬は真っ赤だろう。
平手じゃない。拳で、だ。
可愛らしく云って、グー。

それも芥川君と同じ方を殴るんだ。
いくら利き手が一緒だからって、同じ所を二度も殴られたら痛い。それはもう痛い。


「ほんと、懲りないね」


私の顔を思い切り殴った手をさすりながら、彼女はぼそりと小さく云った。



「…………それって、私のこと?」

「アンタ以外に誰が居んの」



ギロっと鋭く睨まれ、ひぃ、と笑いながら返した。




「…いっつも余裕そうでさ、気持ち悪い」

「ひっどいなぁ…、ていうかさ、私思ったんだけど皆さん私の扱い酷くない?」


探偵社もポートマフィアもさ。
もうちょっとくらい私に優しくして欲しいよね。



何故か視線が感じるなぁと思ったら 彼女……洋子ちゃんが冷たい、蔑むような目を私に向けているのに気づいてしまった。


「え、何でそんな目で見るの」

「日頃の行いでしょ。“こういう扱いで良いか”って皆が思ってるだけ…ま、間違ってはいないか」

間違ってはいないか、って私に対する扱いが間違ってないって事なのかな?
えぇ悲しい。



「そんな事は置いといて……何でこんな所に居んのよ」



少しの間を取って言った台詞。
ほんのちょっぴり、驚いた。



「そりゃあ…ポートマフィアの新人さんに捕まっちゃったからだよ」

「ナメてんのかよ」



若干被せられた気もするけど。
そのくらいの速さでの回答だった。



「…矢ッ張り…、」

「は?なに」


聞こえないくらいの声で呟いたつもりなのになぁ
地獄耳かよ…。

ひぃ、何でもないよ、と笑って返しておいたが彼女は疑いの目を向けたままだった。


だが、

「ああ!そろそろ任務の時間かな?」

と急に大声を出すものだから、
流石の私でもビクッと肩を上げてしまった。


そんな私をハッと嘲笑うようにして
弾んだ足並みで階段を上って行った。



「じゃーね、ダザイ。もう二度と会いたくないな」

ギィと扉を開けながら云った。
語尾に音符が付きそうなくらいの声質で。


「またね」

そう云った彼女の表情は、
目は細めて、口元を三日月を型取っていた。



大きな音を立てて扉が閉まる。




「あーぁ、洋子ちゃん、切替(スイッチ)早すぎだって…」


ぽつり、呟いた言葉は 牢の中に響いた気がした。








帽子を被り、妙に機嫌がいい青年が来る30秒前のお話。

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紅月(プロフ) - すごい面白いです!(*^^*) 夢主ちゃんが可愛い…← 更新頑張ってください!! (2018年10月9日 18時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まして x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年9月6日 22時

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