なないろ (ページ4)

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ともくんが誕生日のお祝いをしてくれたのは
２日後のこと

仕事のあとにレストランへ行って

プレゼントはハート型のネックレス

ホールケーキを予約してくれていて
ともくんの家で２５本のロウソクの火を消した

好きって気持ちを言葉とカラダでたくさん伝えてくれて

すごく幸せな夜だった。

好き

ともくんのことが、世界一。

それから一ヶ月

「Aー、臣からセットしちゃってー！」

「はい、すぐ入ります」

「私、ガンちゃん探してくるから。時間ないっていうのにどこ行ったんだろう」

もうメンドクサイなぁ、って鼻息を荒くして
真奈さんは楽屋を出ていった

東京でのライブ直前

鏡台の前に座る臣さんの後ろに立って
セットを始めた。

くしを通したらお花の香り

シャンプーのあとだからかな

いつもいい匂いだなぁ、臣さんって。

「今日はどうしますか？」

「どうすっかぁ……前回は下ろしてたから今日は全部上げようかな」

「パーマっぽくしたんでしたっけ？」

「そうそう、あれ意外と好評だったよなぁ。似合ってねぇかもって思ったけど」

「ちょっと臣さん？私、似合わない髪型なんか作りませんからね」

「あ、そっか、Aじゃん作ったの」

クスクス笑う臣さんにスプレーをひと吹き

じゃない、これでもかってくらい吹きかけた

おかげで臣さんの髪は

どれだけ踊り狂っても崩れないくらいガッチガチ

ふんっ、

私だってことわかってて意地悪なんだから。

「これでいいですか？」

二つ折りの鏡を広げて後ろ姿も確認

うん、いいね、って満足げに笑ったと思ったら

一点をじっと見てる

なにか不満でもあるのかな？

「臣さん？どこか直しますか？」

鏡越しに目を合わせてわかったのは
その視線が私の胸元より少し上にあるってこと

なに！？

「それ、彼氏から？」

「それ？」

「ネックレス……Aがアクセサリー付けてんの珍しいじゃん」

「誕生日プレゼントで貰ったんです、変…ですか？」

アクセサリーは好き

女の子らしく着飾って自分を輝かせたい

でもそれはプライベートだけ

仕事中は一切付けない

輝くのは私じゃないから

だけどこのネックレスは特別

大好きなともくんからの贈り物を

肌身離さず付けていたい

ともくんから
はじめてのプレゼントだもん。