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そんなAに関することで、俺には最近ずっと悩んどることがある。ずばり、メンバーに報告をするかどうか。
家庭の事情まで明け透けにする必要はないとは思うけど、フォローしてくれる人は多いに越したことないなとも思う。

通話でのMTG中も、ずっとそのことばっかりが頭を占めて内容もあまり入って来おへん。


「じゃあ、こんな感じでいいかな」


うらさんが話の終わりを告げる。よし、今や。
ここぞとばかりにタイミングを伺って、あくまで自然な感じで話を続けた。


「一個報告しとくことがあって。あんな、ちょっと前に親父再婚してん」


言わんでもいいとは思うんやけど。と切り出した俺の言葉に、いつも通りのうらさんが急になんの報告かと思ったと笑った。


「そうなの?おめでとう」

「うん。でな、姉ちゃんと妹ができてん」

「え、いいやん。坂田妹欲しい言うてたやん」


まーしーが話題を広げるのを聞きながらまだ会ったことない妹の話は、まあね〜とざっくり受け流す。
本題はそこじゃないねん。


「でも今、その新しい姉ちゃんと一緒に住んどる」

「はあ!?」


複数の声が重なって聞こえて、まあそういう反応になるよなと思う。それでも声のボリュームに合わせて割れた音に、うるさと声が漏れた。


「めっちゃ気をつけはするけど、配信中とかにもしかしたら万が一があるかも知れんし。そん時に何も知らんでみんなに負担かけたらあかんなって」

「あ、じゃあ前に坂田が女の人と話してるやんって思ったん、お姉さんやったってこと?」

「あ、聞こえてたん?やば。こういうとこよほんまに気をつけよ」


センラ聞こえてたのに知らんふりしてくれてたんやなあ。
さすが営業職サラリーマン。気が利く男である。


「にしても姉ちゃんとかあ。妹と暮らせなくて残念だったな」

「いや〜なんかな?思った以上にめっちゃ気楽なんよ。もっともう無理や!ってなると思ってんけど全然そんなことないし。逆に妹じゃなくて良かったんかも知れん」

「それはありそう」

「な。妹やったら変に格好つけてもうてるかも」

「それはお姉さんに失礼やろ」

「え。格好つけた方がいいん?絶対嫌がるでA」


めっちゃ困った顔で、変なものでも食べた?とか聞いてきそうや。今更取り繕う気もないし、格好つけたりはせんけど、困った顔のAはちょっと見てみたいと思った。

予想以上に俺の生活に溶け込んでんなあ、と思わず溢れた笑みが口から零れた。

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作者名:こま | 作成日時:2021年10月31日 14時

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