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Aと一緒に住み始めてもうすぐ1ヶ月。
もうずっと一緒に住んどるような気分なだけに、まだ1ヵ月も経ってないっていう事実に驚く。
最初は正直、長くは続かんやろうなって思ってた。やけど、実際には一緒に住んどってもこれまでと大きくは変わらない何不自由ない暮らし。
寧ろたまにちょっと得した気分にもなる日々に、誰かと一緒に暮らすのも悪くないなと思い始めていた今日この頃。
「A、俺今から暫く反応できんから、なんかあったらチャットしてくれん?」
「うんわかったー、大人しくテレビ見てるから」
「またゾンビやん」
画面いっぱいに映るゾンビを見て、思っていたことが口から漏れた。
シリーズ長いんだもん。と振り返ったAが、ちょっと照れた顔で笑う。
……キモイ自覚はあるんやけど、不覚にも思ってしまった。
俺の姉ちゃん可愛ない?
「まあ、なかなか見終わらんよな。そのシリーズ長いし」
「見始めなきゃ良かったかもって正直後悔しなくもないけど、見だしたら続きが気になってしょうがないんだよね」
「面白いドラマあるあるやん」
「でもこの話終わったら次はマイティ・〇ー見ようと思ってる!」
「アイ〇ンマン見ようややったら!」
「アイ〇ンマンはBD持ってるから。わざわざ配信で見なくてもいいかなって」
「天才やん」
「男性人気高いよねやっぱり。私はイケメン好きだから、アメリカの盾の人とかアスガルドの兄弟とかも好きだけど」
めっちゃ色々見とるやん。あーこのままAと映画見たい。MTGがなかったら一緒に見とるのに。
最近になって、意外な程ドンピシャで趣味が合うことが多いなって気づいた。
一緒に生活してるとタイミングとか趣味とかも似てくるんかなあ。
「どうしたの?何で無言で棒立ち?」
じっとして動かん俺に、Aが不思議そうに首を傾げる。何でもないよ、もう戻る。と誤魔化すように呟いて部屋に戻った。
いや、絶対俺キモイやん。
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作者名:こま | 作成日時:2021年10月31日 14時