新しいきょうだいが増えました (ページ3)

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「……姉ちゃん、なん？」

「いや、あの、はい。でも、全然名前で、なんなら呼び捨てで大丈夫です」

「…A」

「はい。えーっと、坂田くん」

「言わせてもらうけどAも坂田やで」

やりづらいったらないんだけど！！

嫌だ嫌だと拒否し続けたところで、今の家を出ないといけないことには変わりなく。更には家が昨日今日でぽんぽん見つかる訳もなく。
そもそも住む家のビジョンだって描けてなかったのに、そんなすぐに都合よく家が見つかるか。
そんな展開なんだ、漫画か。
というわけで、最後まで抵抗を続けたが、家が見つかるまでの期間限定ということでお世話になることにしたのだが。

思ったよりも随分と広いリビングに、思わず居住まいを正す。

「…立ち入ったことをお聞きますが、何のお仕事をされてらっしゃるんでしょうか」

お世話になるからと案内された家は、一人暮らしかつ一般的な社会人にしてはセキュリティも万全で部屋も広い。急にひとりお世話になるからと言われても、承諾できるわけである。
まさか一人部屋が用意されているとは。

「…言わんとあかんの」

「いえ、気になっただけなので。特に追求はしません。そして、なるべく邪魔にならないよう生活しますので…」

「Aって神経質やったりする？」

「え。いや、あの…申し訳ないくらい全然」

「料理は？」

「できないことはないですが、あんまりしません」

「掃除は？」

「汚くならない程度に」

ふむと考え込む素振りを見せる坂田くん(弟)に、質問の意図が見えずに戸惑う。
もしかして、全然合わないなということなのだろうか。
失礼な話だが、少なくとも向こうも神経質なタイプには見えないけれど。

「…後々揉めるのもあれやから、色々決めとく？」

同居の第一歩は生活する上でのルール決めをすることだ。