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「A、でいい?坂田がずっとそう呼んでるから、それで馴染んじゃってて」

「はい。呼びやすい呼び方で大丈夫ですよ」

「Aって、普段何してるの?」


隣に座るうらたさんが取り分けられた鍋を冷ましながら、そう声をかけてくれた。
人見知りするようなタイプではないのか、気まずくならないように話しかけてくれる優しさがコミュ障としては大変ありがたい。


「基本インドアなので、動画配信サイトとかで映画とかアニメとか見てます」

「お。アニメも見てんの?」

「はい、結構色々幅広く見てますよ」

「A基本何でも見るのが好きよな。俺がゲームしとるときもずーっと見てるもんな」

「自分じゃ下手くそ過ぎて上手くいかないから、人のプレイ見てるの楽しいんだもん」


志麻さんやセンラくんと盛り上がっていたはずの坂田くん(弟)が急に話に割り込む。弟のプレイをずっと見ている姉というのが、何だかやけに恥ずかしくて誤魔化すように取り分けた鍋をつついた。


「あー見る専ね、めっちゃわかりますわ〜。ま、俺はある程度やんのも好きやけどな」

「いやセンラゲーム下手やん」

「別にええやんけ!好きなんは自由やろ!」


うんうんと頷きながら同意してくれたセンラくんに、すかさずつっこむ坂田くん(弟)。うらたさんと志麻さんが笑って、私もくすりと笑う。
会話のテンポが良くて、話しているのを聞いているだけでも楽しい。


「センラくん、全然見えないですけど結構オタクですよね。アニメも結構見てるって言ってましたし」

「Aもやん」

「そう!さっきもそれで盛り上がってた」

「俺も結構見てるよ〜」

「うらたさんもですか?ありがたいです!」

「いや、ありがたいはわからん」


そう言って、うらたさんが笑う。
そこから志麻さんを混じえてアニメの話で盛り上がり、時折話についてこれない坂田くん(弟)が知ったかぶって相槌を打つのに突っ込む3人のやりとりを聞いて更に笑った。

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作者名:こま | 作成日時:2021年10月31日 14時

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