新しいきょうだいが増えました (ページ12)

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例の鍋パーティは、思っていたよりも近いうちに開催された。

「お邪魔します〜」

複数の声が重なって聞こえて、緊張感が増す。どんな顔で出迎えて良いのか分からずに、リビングで少し居住まいを正した。

「ただいまー」

「あ、坂田のお姉さん？」

「あ、はい。初めまして、弟がお世話になってます」

ぞろぞろと慣れたようにリビングに顔を出した件のメンバーたちに、ソファーから立ち上がって頭を下げる。
しっかり顔を直視できないのは、コミュ障故だろうか。精一杯愛想の良い笑みを浮かべたはずだったのだけど、坂田くん(弟)はニヤニヤと面白そうにこちらを見ていた。

「言い慣れてない感出とるし、めっちゃ緊張してるやん」

「ねえ〜〜人見知りだって言ったのに」

流してと言ったにも関わらず、すかさずからかってくる弟。複数の視線から逃げるようにして、どんと、坂田くん(弟)の右腕に体当たりする。
不満な顔で見上げれば、坂田くん(弟)は悪びれもせず笑った。

「どうも初めまして、うらたです。こちらこそ坂田がお世話になってます」

「え、何なんうらさん。俺の保護者なん」

「志麻です」

「あ、センラです。今日はお世話になります〜」

小柄な男性がうらたと名乗ったのを皮切りに、目の下にホクロのある男性が志麻と名乗って、1番背の高い男性がセンラと名乗った。
変わった名前もあるからきっと芸名のようなものなんだろう。芸名で呼んでいいのか。
4人の仲の良さが垣間見えて、最初よりもほんの少し緊張が溶けた。

「あ、ご丁寧にどうも。坂田Aです。あの、全然気を使わないで、って言っても無理かも知れませんが、私相手に敬語はいらないですし、いつも遊びに来てるときみたいに過ごして頂いて大丈夫ですから」

「て言うAが1番固いで」

「緊張してるから！」

「そんな緊張しなくても。あ、これ、色々買ってきたんでどうぞ」

差し出された袋は、3人の手にひとつずつ。
わざわざ買ってきてくれたのだろう、飲み物や鍋の具材であろう野菜が袋から覗いていた。
受け取ろうと手を伸ばせば、袋が遠ざかる。

「女性には重いし、俺たちで持って行きますよ。キッチンの方に持っていけばええですか？」

気遣い！！
センラと名乗った男性に当然のように微笑まれて、驚きと感激で硬直してしまう。

「イケメンは心までイケメンと相場が決まってるの…？」

「何言うてんの」

そう言う弟は呆れた顔をしていた。