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涼介「ねぇ、...中絶、考えようよ」
二人きりのリビング。
時計の針が動く音だけが無機質に響くだけの重い雰囲気で、
口を開いたのは涼介だった。
A「え、何言ってるの?ねぇ、涼介?」
涼介の口からそんな言葉が出てくるなんてありえないと思った私は、
とっさにうつろな目の涼介の腕をゆすった。
涼介「もちろん、Aにその子産んでほしいし、俺だってその子の顔見たい。」
A「だったらどうして...」
涼介「俺は!」
私の言葉をさえぎって少し声を荒げる涼介。
涼介「その子より、今はAの命のほうが大事なんだよ...」
部屋中を包む、突然の沈黙。
涼介「考えたくもないけど、もし...もし、Aに何かあったら。俺、その子を憎んでしまうのが怖い...」
A「でも涼介、出産した人だっている」
涼介「A。お前のは人一倍進行が速いんだよ?しかも妊娠中」
A「私、この子は絶対産みたいの。涼介だって賛成してくれたでしょ?」
涼介「でも、今は...とにかく怖いんだよ。その子を産むことでAが...いなくなるのが。...怖い」
突然の涼介の本音に何も言い返せないまま、
小恋を迎えに行く時間が少し過ぎてしまっていることに気付いた。
涼介「俺、行ってくる」
ドアが閉まる音が響いたのが引き金になったのか、
それとも一人になったのが寂しかったのかわからないけど。
母になってから強くなったはずだった私の涙腺は、また崩れた。
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ていな - 圭人LOVEさん» そうですね!ハッピーエンドの方向かな...?まぁ、楽しみながら読んでください(笑) (2016年10月24日 16時) (レス) id: 9f843be52f (このIDを非表示/違反報告)
圭人LOVE(プロフ) - ハッピーエンド欲しいです。バッドエンド嫌いなので(笑) (2016年10月22日 19時) (レス) id: baceae0461 (このIDを非表示/違反報告)
ていな - 山田菜摘さん» ありがとうございます!これからも見てくださるとうれしいです! (2016年10月15日 16時) (レス) id: 9f843be52f (このIDを非表示/違反報告)
ていな - ゆめのさん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします♪ (2016年10月15日 16時) (レス) id: 9f843be52f (このIDを非表示/違反報告)
山田菜摘(プロフ) - 進行頑張って下さい! (2016年10月15日 16時) (レス) id: 07b07c35b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちてぃな | 作成日時:2016年8月16日 10時