【HQ!!】両片想いなんかあるわけないでしょ【月島蛍】 (ページ10)

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｢高嶺の花からそんな言葉聞けるなんて光栄だね｣
｢だからその呼び方……｣
｢ゴールデンウィーク、予定空いてる？｣

　突拍子もない問いに、え？と気の抜けた声を出してしまう。紬の垂れたサイドバングを耳にかけて、月島はチラリと顔色を伺ってくる。

｢外でも会いたいんでしょ？｣
｢あ、｣

──“なかなか学校外で会わないもんねぇ”

　入学直後に交わした会話を思い出す。たしかにそんな事も言ったような気がするが、それ程寂しげに聞こえていたのだろうか。

｢会いたいとは言ってないけど｣
｢そ、じゃあ山口とどっか行ってくるね｣

　スタスタと足を早める月島に、え、ツッキー！？と山口が声を上げる。

｢私も行くし｣

　山口の手を引っ張って月島に追いつき、紬がそう言う。月島の顔を見上げてみると意地の悪い顔をしていて、やられた、と顔を歪める。

｢まぁ、部活入るかもしれないけどね｣
｢その時はその時だよ。私もバイト入れるし｣

　喜びを隠せない様子の山口に微笑みを返す。紬も内心嬉しく思っていると、コツンと頭を小突かれた。

｢なにするの｣

　犯人である月島を睨む。余裕そうな表情をした彼は、仕返しだよ。と鼻で笑い教室のドアを開けた。これだけで済むなんて、やっぱりそんなに怒っていなかったのでは、と悩みに悩んで無駄になった五十分間に思いを馳せて、紬は酷く落胆した。

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