【ハイキュー！】彼をふってからしたこと。【黒尾鉄朗】

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何も無かった振りは、案外むずかしいものですね。

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鉄朗の声が聞こえる。




「おい、A！ ちょっと待てよ、話くらい……A見なかったか？」

「さっきまでそこに……あれ？」


走る音が遠ざかる。




会っちゃいけない。会う気もない。


会えない。会わない。会いたくない。


一体私はどれだろう。



(多分………………！！)


「居た……。ちょっと来いよ。」


いつの間にか彼は近くにいて。



「うん。」


神様、これで最後にします。

少しは彼と話してもいいでしょう？



(……会えない、かな…………)


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「……何で別れようと思ったかくらい聞いてもいいだろ。」


「言いたくないの。……聞かないでほしい。」



「……理由も無しに別れるのはおかしいだろ。せめてそれくらいは言うのが筋だろ。」


(こんな顔を向けられたのは初めてかもしれない。)



あからさまに苛立ちを隠しもせず…………敵意を剥き出しにするような顔は。


「……だって鉄朗は本当は私を好きじゃないから！」


「は？ ……おい、A！！」





隙を見て走る。



彼の足音のしない方へと隠れた。





「好きじゃない、は、違ったかな。」




…………まあ。



今さら、その違いがもたらす物はないだろうけど。

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