挑発 ページ40
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職場の上司の息子さんとAちゃんがまさかの知り合い。
『 一緒の高校だったりして。笑』
『 まさか。笑』
まさかだったよ、目黒。
ラウール君は気だるそうに首の後ろを触って俺を下から舐め上げるようにして見てきた。
もしかして挑発してる?
「阿部さん、かっこ悪いっすよ」
「なにが?」
「大人ってもっと余裕があるもんかと思ってたっす。 こんなんだと、俺本気でもらっちゃおうか」
は?
ぐっと眉間に皺が寄れば、ラウール君はクスッと綺麗な顔に笑みを浮かべる。
「そんな怖い顔しないでくださいよ。でも、アイツの事どう思ってるか知らないけど、ただの兄貴としてこれからも居るんだったら俺のすることに口出ししないでね?」
後ろで手を組んで、俺に一歩を寄るとこてっと首を傾げて口角を上げる。あざといなぁって、これよく俺もしてるらしいけど。
「それじゃあ、また?」
「………」
ラウール君はきっとAちゃんを追いかけた。
ここで俺が追えば、状況はどう変わるんだろうね。
挑発されてるって分かってるし、きっと俺の気持ちを知ってるんじゃないかな彼は。だからあんなふうな態度をとったか、本当に何も知らずにただ挑発してきた。
どちらにせよ、似たタイプの彼の存在に焦りを感じずにはいられなかった。
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あれから数日、俺が何もせずにいる間にAちゃんから連絡がきて、久しぶりに会う事になった。
待ち合わせのカフェで待っていたら、制服姿のAちゃんが若干気まずそうにやってきて、「あのっ」と言葉を詰まらせる。
カチャとカップを置く音に耳を傾けた。
「亮平君、ごめんなさい」
情けないよね。勇気が出ない俺と違って、Aちゃんは自分から行動してくれるんだから。
「Aちゃん、俺こそ嘘をついたことは謝るよ。ごめん」
自嘲気味に笑っていれば、Aちゃんは何処かスッキリとした表情を浮かべてこれからの受験勉強は家庭教師をつけてもらうことにしたって。
はは、俺はお役目御免かな。
そりゃあそうだよね。
こんな頼りない俺に勉強を見てもらうなんて不安になっちゃうよね。
「頑張ってね」
「はい」
そして直ぐにクリスマスと年が明け、彼女の受験日がやってくる。
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☆ゆきんこ☆(プロフ) - リナさん» リナさま、最後まで読んでくださりありがとうございました!次の主役はほぼ本編に答え出てますね(笑)モヤッと部分を回収してもらえるように頑張ります! (2020年11月6日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。さま、最後まで読んでくださりありがとうございました!面白かったと言ってもらえて一安心です。シリーズ物ならではの楽しみ方をしてもらえたらと思い前作までの方々を絡ませてますね(笑)次のお話も楽しんでもらえるように頑張ります! (2020年11月6日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - 完結おめでとうございます!次の主役はあの人ですか!モヤっとした部分スッキリしますね!楽しみに待ってます!! (2020年11月5日 2時) (レス) id: 7aedc618bf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさん、完結おめでとうございます!ホントに面白かったです!しかも、お名前シリーズのあの方たちがこんな繋がりで登場するとは!後半は驚きとニヤニヤ満載でした。ゆきんこさん凄いです!次はあの方のお話ですね。楽しみにしてます! (2020年11月4日 21時) (レス) id: 59fd607722 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - ふさん» 名前シリーズいよいよ阿部氏です!最初から禁断ストーリーとなってるのでラストは……!できる限り毎日更新目指してますので、できない時はお許しください(汗) (2020年10月26日 21時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年10月20日 10時