亮平君、この答え教えてください。【緑】

2 ページ31

・



いつかこの想いを告げたいとは思ってた。


何歳年上か分からないけど、年上の男は嫌いじゃないと良いなって。


だけど俺は現実をしることにになる。



春に君を見つけて五ヶ月後、君は学生服を着て図書館へやって来た。



「嘘だろ」


正直大学生だと思ってた俺は、高校の制服を着ている君を見て困惑したよね。


だって成人した男が、流石に女子高生(未成年)には手は出せないだろうって。




だからねこの気持ちは忘れようとしたんだ。

ただ君を見られたらそれでいいやって。


そしたら気づいた。

どうやら君は受験生なのかな？

難しい顔をして参考書を睨んでて、ああそんなに眉間に皺を寄せたら可愛い顔が台無しだよって。


教えてあげたいなー。

あの本なら役に立つと思うのになー。








ある日君が参考書を探して本棚を見上げているところに出会して、さりげなく俺が読んでいたやつを君の目線の先に並べたら、彼女はそれを手に取ってパラパラと捲って嬉しそうに笑って持っていった。

よっしゃって、ガッツポーズした。


「頑張ってね」



華奢な背中にコソッと言う。







.






「やっとするんだ、再婚」




ずっと一人だった父さんに彼女という存在ができたのは、既に俺が社会人として独り立ちした後だった。


その人はユキコさんといって、いつもニコニコしてて穏やかな人。


義理の息子である俺にも気をつかってくれて、不規則な生活で食事も適当に済ませていたけど、時々作り置きのおかずを持たせてくれたりさ。


その中でもツナを包んだ餃子が俺の舌にヒットして、ハイボール片手によく摘んでたなって。





「これ美味いっすね」

「だろ？ 父さんの彼女さんがね作ってくれてるんだけど、これは作り方聞いておこうかな」




後輩の目黒とひとつの山が終わる度に労いの会を開き、男二人で虚しいなと笑い合う。



「そういやさ、目黒は年下なら何歳まで付き合える？」

「え、なんすか突然。年下か……俺はまあ好きになったら年齢とか関係ないだろって思うタイプなんで何歳でも。あ、でも流石に幼児はないっすけどね」

「いや分かるわ」



そんな冗談笑えねえから。



でも俺は目黒が少し羨ましいよ。


好きになったら関係ないと言えたら、俺はあの子に気持ちを告げられるのにって。




.

3→←密かな恋心

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す