迷い ページ21
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肩に頭を乗せたまま、彼がゆっくりと僕を仰ぎ見た。
酔った熱っぽい瞳と、僕の視線がかち合う。
もう一度名前を呼んで、ギリギリのところで頭をどかそうとしたが、僕は口をつぐんだ。
その目に引き込まれそうになっていた。
胸がド○○キし、澄んだその瞳から目をそらせずにじっと見つめてしまう。見ていれば自ずと、押さえつけていたはずの欲が湧き上がる。
ああ、どうしよう。彼はまだ駄目だ、もう少しこの距離でいるはずだったのに。
理性と感情が入り乱れている僕をじっと見つめながら、彼がゆっくりその口を開いた。
「__やっぱりお前は綺麗だな...。」
「っ!!」
瞬間、自分でも分かるくらいに顔が赤くなる。
駄目だ、今そんな言葉、今の僕は勘違いしてしまいそうで怖い__
いつもは嫌だったその言葉が、彼に言われるともう駄目だ。苦しいくらい恥ずかしいのに、苦しいくらい幸せだ。
どうすればいい__
だが身勝手な欲を必死に理性で押さえつけた。
彼は酔って僕を女だと勘違いしてるんじゃ...彼はノンケだ、ノーマルだ。もしかしたら、そうかもしれない...。
「なに、言ってるんですか...。僕は、男、ですよ...。」
必死の思いで声を出す。震えないようにするのに必死だった。
今、絶対に顔が赤い、あぁ、恥ずかしい...
僕の言葉を聞き、彼は少し目を見開いた。
そのままじっと僕を見つめる。心なしか、さっきよりも熱を帯びたような目で。
身体がゾクッとした。
これが喜びなのか、性の欲求なのか、不安なのか、羞恥なのか__自分でもよく分からない。
だがその震えは、まるで本能が”この人が欲しい”と訴えているようだった。
そんな目で見ないで、本当に抑えが効きそうになくて怖い。
理性と本能で葛藤している僕の頭へ、ふと彼の声が響いた。
「なぁ、お前。俺と寝たらどうなる...?」
瞬間、僕の中で何かが切れた。
あぁ。
もういい、もう...どうとでもなってしまえばいい____
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作者名:涼 | 作成日時:2019年6月23日 23時