容姿 ページ18
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「ねー、二人って仲いいんだね。正反対のタイプだからあんまり喋らなそうだったけど。」
「それな！意外。」
奥にいる二人組が話しかけてきた。初対面のはずなのに、話し込んでいた僕達を周りは不思議に思っていたらしい。
「え、相川と俺が正反対のタイプ？」
一輝さんは意外そうに聞き返した。だが確かに、似ている点は少ないと思う。
「なんつーかさ、お前はちょっとチャラチャラしてるっていうか、派手なとこあんじゃん。でも相川は基本真面目だし、そんな喋るキャラでもないだろ？」
「そう！見た目も正反対だよね。加賀宮くんは茶髪だし、顔も王道イケメンって感じ。相川くんは...なんていうか、美！分かる？美！あーこの二人いいわぁ！」
チャラチャラしてる、とは言っても、嫌な軽さではない。気さくで明るいとは思うが、派手...だろうか。分からない、まだ今日会ったばかりの彼をよく知れていないことが、何だかもどかしく感じた。
だが、容姿が正反対なのは納得がいく。
彼が明るい茶髪なのに比べ、僕はずっと黒髪だ。髪を染めようとは思わないし、あまり似合わない気がする。
自分の姿格好には、基本無頓着だ。
だが、"女みたい"とよく言われるのは嫌だった。
名前に関してもだが、容姿も多々そう言われる。
男なんだから、もっとしっかりした顔つきでいたかったし、身体にも筋肉をつけたい。でも体質のせいなのか、筋トレをしても少し縦線が入る程度。
色が白く細い自分の体も気に入らない、男らしさといったものがない気がする...。
そんな僕に比べ、彼は大違いだ。別にムキムキなわけではないが、程よく筋肉もついていそうだし、顔つきもはっきりとした端正な容姿だ。
自分にないものが詰まっているようで、羨ましくも感じてしまう。
そんなことを考えていたら、彼がぽつりと言った。
「あー、確かに相川が”美”っていうのは分かるわ。」
「え...」
思わず固まってしまった。丁度そんなことを考えている矢先だったからか、いや、なぜだろう...
彼にそう言われると、胸の奥がそわそわ歯痒い気持ちになった。
”美”だなんて、”女みたい”というのと大して変わらない言い回しだ。
いつもなら、また言われてしまった...と落ち込むのに。
からかいや、冷やかし抜きで、彼は本心でそう言ったような気がした。
そんな真っ直ぐに言わないでくれ＿＿
とたんに恥ずかしくなる。
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作者名：涼 | 作成日時：2019年6月23日 23時
