加賀宮一輝という男 ページ14
.
夜7時、指定された大学近くの飲み屋へ向かう。複数で食事をとるのは、かなり久々な気がする。
店内に入ると、そこは小洒落た居酒屋だった。先に来ていた悠太がすぐに気づき、俺を席へ呼ぶ。
「お、瀬成！こっちこっち！」
行くと、僕意外はもう揃っているようだった。
「まー適当に座って！」
「うん」
ふっと視線を巡らせると＿＿
あぁ、あの人だ。
悠太が言っていたのが彼であると、すぐに見当がついた。
彼は一人だけ周りと違っていた。顔がいいのは勿論だが、それだけではない。
彼からの雰囲気が他とは全く違い、どこか特別だった。
なるほどな...と合点がいった。彼のような人を、目を引く存在、というのだろうか。
自然な風を装って、彼の隣の席へ行く。まだ僕のことははっきり認識していないようだった。
ちらりと彼の横顔を盗み見る。近くで見れば見るほど整った顔立ちだが、その横顔はどこか退屈そうに見えた。
「はいっ！じゃあみんなグラス持って！」
もう乾杯をするようだ。適当に頼んだ缶チューハイを持って、一度彼から目線を外した。
「「乾杯ー！！」」
全員が手を伸ばし、お互いのグラスを軽くぶつける。ガラスが触れ合う音がする。飲み会特有のこの底抜けに明るい雰囲気は久々だった。
「じゃー早速自己紹介！俺は商学部1年の近藤悠太です。よろしく！」
悠太は率先して流れを作る。男から順に言っていくようだった。ふと前を見ると、悠太の紹介に拍手をし終えた前の女子たちが、コソコソと何かを囁きあっていた。
「...ねえ、今日のメンツ最強じゃない？」
「それな！イケメンばっか！...近藤くんでしょ、相川くんでしょ、あと何と言っても加賀宮くん！」
「ほんと来てよかった?！こんな近距離で３人見れるなんてね?」
”加賀宮”
会話が聞こえて、この名字が不思議と頭に残った。これが彼の名字だろう。
やはり女子たちも狙っているようだった。そりゃそうだろうと思う、このルックスだ。
悠太が言ったとおりの、王道の正統派イケメン。癖のない整った顔立ちだ。
そんなことを考えていると、自己紹介の番が回ってきた。
人前で何かを言うのは慣れていないので、少し緊張しながら軽く席を立つ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【BL】酒場の店主は落とせない2nd【オリジナル】
【BL】｢し｣かしながら、僕と契約したSランクの守護神が、性格がドSの疫病神だった... 【BL】完璧すぎる義弟と僕の距離が最近かなり近い件。【オリジナル】もっと見る
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼 | 作成日時：2019年6月23日 23時
