回想 ページ12
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ホテルを出た後家に戻り、軽くシャワーを浴びてから午後の講義に出た。
大学の教室で席につくと、後ろから声がかかる。それは悠太だった。
「よっ一輝!顔色悪いのは二日酔か?」
「ああ...まあ。」
「珍しく泥酔してたな、お前。」
「あー、実はあんま記憶なくて...。」
そうそうに昨夜のことを掘り返されると、ズキッと頭が痛む。あまり触れてほしくない話題だ。
「ふーん、ま、後で相川に礼言っとけよ。手焼かせてたぞ。」
「え......あーあのさ、俺あいつと飲んだ後のこと結構曖昧で...、俺どうしてた?」
「んーなんかお前がベロベロに酔ってたから、相川が家まで送ってきますつって、二人で店出てったぞ?相川もなんか微妙に顔赤かったし、あいつも酔ってたんじゃねぇかと思うけど...、無事に家着いたか?」
「.......まあ...」
「そ!ならいいけど。」
はぐらかすことに少し胸が痛んだが、店を出た経緯は聞けた。相川が俺をホテルまで運んだっつーことか...。
おそらく相川は、俺のあの言葉を酔った冗談だと思って適当に聞き流し、あまりに酔っていた俺を家まで送ろうとしたが、住所が分からないから近場のホテルに俺を寝かしたんだろう。
それで途中目が覚めた俺が、相川を...襲った...のか......?
あらかた自分の中で整理をつけたが、改めて最低だと痛感した。思わず顔を背けて片手で顔を覆う。
早いとこ謝らなくては。
「...なあ悠太、相川の連絡先知ってるか?」
「おう、知ってるぞ。...あ、でもあいつの学部の講義、多分この教室のすぐ近くだろうから、これが終わったら自分の足で行ったほうが早いと思うぞ?礼言うんなら早いほうがいいだろ!」
「あぁ......、分かった。そうするわ。」
面と向かって顔を合わせるのは、正直とてつもなく気まずい。
が、こういうことは直接謝らなければならないとも思う。
終わったら行くか...と逃げ出したくなる気持ちを押さえつけ、心の中で踏ん切りをつけた。
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作者名:涼 | 作成日時:2019年6月23日 23時