ユッピン♪が書くあやかし緋扇小説 Part2

第63話 ページ21

「ただいまー」

甲高い声が耳に入る。

きっとお母さんが帰って来たんだ。

「A？」

足音が聞こえ、スッとドアが開く。

「わ、電気もつけないで何やってるのよ」

お母さんは少しびっくりしながらも、電気をつけた。


パチッ。


ソファーに寝転がるあたしを見て、ぎょっとした顔を見せる。

あたしは何も喋らず、動かない。

「A…どうしたの、その頬…」

優しく頬に触れる。

今にも涙が溢れそうになる。

苦しい。苦しい。痛い＿＿＿＿。

「…何でもない
転んでぶつけただけ」

そういうと、部屋に戻って行った。

リビングには、心配そうな顔をしたお母さんだけが残っていた。

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