『黙祷』side:勇者 ページ22
「合格、かしらね」
紅茶を啜る静かな音だけが支配する空間で、ポツリと声を出した者がいた。
それはお姫様こと、アリシア・フィリアス・ロードの発した声だった。
「いきなりどうした？悪徳代官ごっこか？」
「悪徳代官って...言っておくけれど、不正なんてしたことないわよ？」
形のいい眉を潜め、訴えるような眼差しで睨むお姫様。
だが可愛いからか、これといって驚異を感じさせないその顔は、まるでフランス人形のようだった。
そもそも政治に関わらしてくれないわよ、とは彼女の言い分だ。
お姫様なのに政治に関われないとか...
「取り敢えず、学園から帰ってきたら私の部屋に来なさい。話はそこからよ」
「...ん、お前は学園に通ってないのか？」
国王、俺なんか学園に行かせなくていいからさ...自分の娘に行かせてやれよ。
しかし、彼女の顔には悲観した表情は読み取れないため、まあいいかと割りきることにした。
紅茶カップは側で侍っていたメイドさんに渡し、真新しい制服に袖を通す。
黒をベースにしたそれは、華美すぎることもなく俺好みの制服だった。
「大変、お似合いですよ」
メイドさんのお世辞が、どこか、他人事のように聞こえた。
▲▼
「えー、どうも。チキュウという星から来ました。フミオ-サトウと言います。よろしくお願いします」
疎らに上がる拍手を余所に、いそいそと自分の席に着く。
後ろから二番目の窓側。何気にベストポジションだ。
もう一席、俺の前が空いていたがきっと休みなのだろう。
もしかしたら不登校かもしれない──。そんな下らないことを考えていた。
「それでは、唯一神に。黙祷」
ホームルームもそろそろ終わり、トイレに行こうとしたとき、そんな合唱と共に皆が一斉に祈りを捧げ始めた。
ついには教員までも。
数十秒後、やめ、という掛け声で黙祷は終わる。
何故祈るのか、教員に聞いてみた。
「──フミオ様はご飯を食べる際、“いただきます”と言いますよね？
「それと同じです。
「神に祈ることは当然。
「いえ、必然でございます。
「この国に住んでいる者は皆、唯一神に忠誠を捧げております。
「これは義務なのです。
「私たちが安全に暮らすための...義務なのです。
「『貴方の魔力は何色ですか？』
では、今日も良い一日を」
俺は...初めて、この国が怖いと感じた。
この国の根本にあったのは、『神』という絶対的上位者の上に成り立っている、宗教政治そのものだっだ。
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haru(プロフ) - 面白いです！ (2021年6月30日 9時) (
レス) id: 6cf492dda0 (このIDを非表示/違反報告)
悠佳(プロフ) - Noraさん» 褒めていただき光栄です！いつも女の子しか描いていないので、うまく描けるかわからなかったのです〜（汗） (2018年11月22日 19時) (レス) id: 378e9b06a8 (このIDを非表示/違反報告)
Nora(プロフ) - 悠佳さん» 拝見させて頂きました。とても綺麗で、思わずみとれてしまう絵でした！本当にありがとうございます。これからも頑張ってください、応援しています。 (2018年11月22日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
悠佳(プロフ) - こんにちは!イメ画出来たのですが、いかがでしょう？ (2018年11月22日 18時) (レス) id: 378e9b06a8 (このIDを非表示/違反報告)
Nora(プロフ) - ゆうりん＠アニメ厨さん» レスが遅くなり申し訳ありません。(忘れてたなんて言えない...)作品の方、読ませて頂きました。適格なアドバイス、ありがとうございます。これから、いっそう邁進いたしますので、応援のほどをよろしくお願いします。 (2018年8月21日 12時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
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