何が何だか ページ31
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総悟は、私と神威を交互に見た。
それから、さっきみたいに、だけど挑戦的に、にやりと口角を上げる。
「その馬鹿を、しかと繋いでおきなせェ。次隙見せたら容赦しねェぜ」
相変わらずその言葉にどんな意味が含まれているのか分からない私は、神威を見上げて反応を伺う。
すると、神威も。
総悟と同じように笑っていた。まるで戦いを終えた長年の好敵手のような、そんな雰囲気で。
「……分かった。頭の片隅にでも置いておくよ、おまわりさん」
私は知る由もないけれど、以前二人が会話したのと同じように、神威が締める。再び背を向けた総悟は、今度は振り返ること無く去って行った。
その後ろ姿を見えなくなるまで見送ってから。神威はその青い瞳を漸くこちらに向けた。
「ねぇ、あ、じゃなくて……その……一体何がどうなってるんですか…?」
「そっちこそ。どういうつもり?ちょっと遣り合ったら全部無かったことにして他の男と逢引?」
久々に向けられたと思ったそれは、冷たい色を宿している。そりゃあ、私は酷い事をしてしまった自覚はあるけれど、こちらとて、何が何だか分からないのだ。
「別に、全部無かったことになんてしてません!総悟とは、たまたま会っただけで…」
「それ、その口調」
私が全てを口にする前に、ぴしゃりと遮る。前々から神威が私の口調を気にしていたことは分かっているけど、それを今持ちだしてくる意味はやっぱりわからない。
「少し前の“ただの”結婚相手に戻ったみたいだ。嫌なんだよ、俺は」
「…っ何を、言って…」
今度は先ほど見せた、悲しそうな色に青い瞳が染まる。そして、一層大きく揺らめいてそれを増幅させた。
「(…今だって、ただの形式上の結婚相手の筈じゃないの…?)」
私はそう思わずにはいられなかった。
それなのに、
「やっと俺の中のわだかまりが解けたんだ。次はお前だよ。言われた通り、ちゃんと繋いで置かないとね」
ーーなんて、一人で分かった風な事ばかり言う神威に、言い知れない苛立ちを覚えてしまい。
「だから!総悟も神威も!もっと伝わるように具体的に……!!」
ーー言え!!!
と、自ら作った敬語と言う壁も忘れて怒鳴ったのだけれど。それを最後まで言うことは叶わず。
「…っん、!?」
途中で手首を引き寄せられて……口付けられていた。
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頑張ってください - ああああああああ久々に読んだら進んでてまた神威熱が… (2020年1月6日 1時) (レス) id: ac6d87c707 (このIDを非表示/違反報告)
自己満者 - 京篇凄い良くて、泣いちゃいました(笑)更新頑張って下さい! (2019年8月17日 15時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - むくさん» コメントありがとうございます。時間をかけて丁寧に書いたシーンなのでそう言っていただけるととても光栄です!これからもよろしくお願い致します。 (2019年5月26日 23時) (レス) id: 765bdcb728 (このIDを非表示/違反報告)
むく(プロフ) - 求婚シーンめっちゃ好きです〜!! (2019年5月25日 23時) (レス) id: 3bb4d6b7d5 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 匿名さん» 初めまして!そう言っていただけてとても嬉しいです。神威くんのイケメン台詞は割と心の声の方が潜んでいたりします笑これからもよろしくお願いします!コメントありがとうございました! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d60993068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2019年1月8日 17時