【銀魂】せーりゃくけっこん°

空気の変わり目は ページ14

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｢…あああ、疲れた｣

｢体力無いなぁ。Aも夜兎だろ｣

｢精神的に疲れたの！特に財布が薄っぺらくなっていくのにね！｣







江戸で何が起こっているのかなんていざ知らず、私ははぁーっとため息をつく。

結局幾ら使った事か。それに、行く先々で店員さんのぎょっとする顔に苦笑いで返すから、頬の筋肉も吊りそうなくらい。
それなのに当事者の神威はケロッとしているし。







｢まあ、江戸もそこそこだったけど、京も悪くないね｣

｢これで悪いとか言ったらぶん殴ってるから｣







どうやら割とご満悦な様子の神威に、私がもう一度深深とため息をついていると、ｽｯと静かに襖が開き、仲居さんが顔を覗かせる。







｢お夕飯の支度が整いましたので、こちらへどうぞ｣

｢やったね。早速行こうか｣

｢……胃袋鉄なの？｣







まあ私も神威に連れ回されたお陰でお腹はペコペコだ。まだまだ食べる気満々の神威に呆れつつも、私は腰を上げた。








＊








｢……はむ、…ほむ……｣






用意されていた豪勢な料理をどんどん口の中にいれていく神威。私はというと、ちゃんと味わって食べているので安心して欲しい。
…尤も、私たちを案内した後は仲居さんも出て行ってしまったので、気を遣う相手も居ないけれど。

ーーそれにしても、





｢(……やっぱり、よく似てる)｣





料理を口に運んでは入れ、運んでは入れるその姿は、同じ髪色の彼女を彷彿とさせる。

万事屋の旦那は彼らは喧嘩中だと言っていたけれど、一体どうしてなのだろう。こんなに似ているし、何より本当に血の繋がった兄妹なのに。








｢(……姉弟しか、総悟の事しか知らないからかな)｣







その他に姉弟といえば、姉御もそうだけれど、何だかんだ仲が良い。

だから、というのはとても言い訳地味ているけれどーー触れられたくないほどに緊迫した関係の兄妹も居るのだということに、私は頭が回らなかったのだと思う。






｢神威は、チャイナさん…神楽さんと兄妹なんでしょ？あと、えいりあんばすたーの星海坊主が父親だとか｣

｢……それが、どうしたの？｣







それまで物凄い勢いでご飯を掻き込んでいた神威の手が、ぴたりと止まった。そしてその口から放たれた声は、今までのどの瞬間よりも冷たいもので。…私は一瞬、奴が別人に見えた。

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