・ ページ46
高木サイド
「はぁ。」
もちろん中止になった収録後、しばらくメンバー全員が山田が運ばれた病室にいた。
しかし、替えがきかない俺らは仕事を休むわけにもいかず、今は一旦ソロの取材だったり打ち合わせとかで出払ってしまって。
俺と有岡くんもラジオ収録の予定だったんだけど…あんな辛い思いした後に目が覚めた時1人じゃ、いくらなんでも寂しすぎる。
ストックもあったし、収録を後日に回してもらって、規則的に曇る山田の酸素マスクを眺める。
「なんか喉乾いちゃった。なんか飲み物買ってくるわ。高木は?」
「ありがと、水買ってきて。」
扉に向かう有岡くんの言葉に、ポケットから財布を取り出し、放る。
「おぉ、奢ってくれんの?」
「えぇ、まあいいけど笑。」
少し腫れた目で笑顔を見せる有岡くんを笑って見送る。
「高木。」
扉に手をかけ、有岡くんがこちらを振り返る。
「俺ら、もっと早く気づいてやりたかったね。」
本当に5歳児のように真っ直ぐな目は、俺の心を見透かしているのだろうか。
「うん。」
「ほんと、、寝顔が見れてよかった。」
「山田元気になったら、アレルギーのことおしえてもらお。」
「うん。」
「一番最初に気づいてくれてありがとう。」
「…うん。」
扉が開閉する音。
症状が出てから割とすぐエピペンも打ってたし、2、3時間で目覚めると言われていた。
しかし、まだ綺麗な寝顔で横たわる山田。
隣に座っていた俺が、もっと早く気づけたんじゃないか。
意識する、と言ったものの、何も出来なかった。
でも、山田は生きててくれたんだから。
有岡くんの言う通り、俺は、俺らはもっと知るべきだ。
これから、守るために。
「んんぅ、、」
「山田?」
「ゆぅや、、」
やっと目を開けてくれたことに安心し、山田の頭を撫でる。
「どぉしたの?笑」
「いや、目覚ましてくれて、安心したよ。辛い思いさせてごめんな。」
「ゆーや、」
「ん?なんか欲しいもんとかある?買ってくるよ。」
ふぅー、と息をつく。
「ありがとね。」
「え?」
「おれ、けほっ、食べてないのに、どんどんおかしくなってさ、」
酸素を吸入していても、深呼吸を挟む姿に、思わず視線を外す。
「ちょっと、焦ってたんだ。つらくって。」
「でも、ゆーやが気づいてくれた。」
酸素マスク越しの山田が、笑って言う。
「ありがとう、雄也。」
327人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mizuiro(プロフ) - あすみさん» 了解しました!!楽しみにしてます!(全然BLっぽくても大好きです…) (2020年2月11日 1時) (レス) id: d9fab4f173 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - Mizuiroさん» 最高…!感激ですちょっとBL感が出てしまいましたが…すみません(--;)喜んで頂けて良かったです(;▽;)リクありがとうございます!!書いた通りTwitterでの公開となること、お話を上げるのが遅いと3月頭くらいになってしまうこと把握お願い致します! (2020年2月9日 0時) (レス) id: d4de4d3e86 (このIDを非表示/違反報告)
Mizuiro(プロフ) - ゆとやま「高熱」最高でした…!山田くんのツンデレ具合がかわいすぎて!ヤバかったです! リクエスト、同じ人がしてもいいということなので、お言葉に甘えて。ゆとやまの関係はそのままで、山田くんが看病するお話読みたいです! (2020年2月8日 10時) (レス) id: d9fab4f173 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - みみさん» 詳細にリクエストして下さってありがとうございます書きやすいです!!承知しました、2月か3月にお話出しますのでお待ち下さい( ´ ` *) (2020年2月4日 16時) (レス) id: d4de4d3e86 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - リクエストよろしいですか?山田くんが胃腸炎のことを隠したままライブに出て、ライブ終わりにホテルのシャワーで吐いてるところをたまたま部屋に入ってきた知念くんに見つかって看病してもらうお話がみたいです!是非よろしくお願い致します!! (2020年2月4日 4時) (レス) id: 478132008f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あすみ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/asumi_ry
作成日時:2020年1月8日 14時