泣き虫な俺ら ページ10
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新しい撮影部屋から漂うタバコの匂い。
「臭くなるの早すぎん？」
普段喫煙しない俺達が臭いと感じるのはいつものことだから、不快ながらも無視して靴を脱ごうとするとバタンとドアが閉まる音がした。
「どうしたの？」
外に戻ったAと同じく逆戻りすると、Aがしゃがみこんで口を手で覆っていた。
「どうしたの？」
俺もしゃがみ、目線を合わせて背中を撫でる。
「気分悪なった……」
またか……
今日は割と調子が良さそうだったんだけどな。また少し顔色が悪い。
ここ最近の彼女は体調が優れない日が多い。匂いに敏感で吐き気も催しがちだし、何よりも微熱が続いているっていうのが心配で仕方がない。
「ねえA、病院行った方がいいよ。絶対どこかおかしい」
昔から病気には強かった。インフルエンザが流行しても元気だったし、風邪を引いた姿も数える程しか見てこなかった。耐性がない分、苦しんでいる姿を見るのは俺も苦しい。
「うーん……、行きたいのは山々やけどまだちょっと早いんよ……」
Aは来週には絶対に行くよ、と少しはにかむ。
「どういうこと？」
「ここで言う予定はなかったけど、今から言うことを耳かっぽじって聞いてください」
「うん」
「実はね、私、今月から生理来ないかもしれない」
「え？」
「12月の結婚式は結構お腹出てるかも。色々考え直すこと多くなるなあ」
「待って、え、本当に？」
「病院行って検査しんと確信は持てないけど……」
こんなに幸せでいいのだろうか。自分が描いた未来予想図よりもかなり早いけど……
授かりものと呼ばれる『新しい命』をAと迎えられるかもしれない。それだけで胸がじんわりと温かくなって、涙が出そうになった。
「ちょっと、泣くのはまだ早いやん！」
「だってもう確定やん……！ 幸せすぎてどうかなりそう……」
「ほんま泣き虫なんやから……」
そう言うAだって瞳が潤んでる。2人揃って泣き虫な俺達が親になる。ちゃんと親に挨拶しなくちゃな。
「じゃあてつやに禁煙させなきゃね。できんかったら抱っこさせないしAにも会わせない」
「急に悪い顔しとるよ亮さん」
「Aと子供を守るための正当防衛」
父親になる。想像なんてできない。でもAとお腹にいるであろう我が子を思えば、何でもできる気がした。
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みゆし(プロフ) - 最近読ませて頂いてます！パスコードを教えて欲しいです🙇♀️これからも素敵なお話楽しみにしてます (2月11日 11時) (
レス) @page40 id: b2f1dffa53 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説の更新待っています！ (2019年12月14日 1時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - rioyamakawaさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります〜！ (2019年7月23日 10時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説占ツクの中で1番好きです！！これからも更新楽しみにしています！！！ (2019年7月17日 11時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - たむさん» ありがとうございます(；；) これからも頑張ります！！！ (2019年6月30日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年6月27日 22時
