君は今この空を見ているか (ページ6)

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一人旅ページ6

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2018年12月中旬、私はフランスに来ていた。エッフェル塔を眺め、手持ちの一眼レフカメラで写真を撮る。初めてやってきたこの国で、初めて見た景色、感動を忘れないように。

かれこれ4日間離れているけど、皆は元気だろうか。

「皆の衆、報告がある！！」

「何だなんだ！」

てつやが痔の手術で入院する前最後の撮影日、全員揃った日曜日の昼下がりはどこか浮かれた雰囲気が漂う。

「私は、2週間後に、フランスに行く！」

「はあっ！？」

騒然として顔を見合わせる6人。そりゃそうだ、誰にも言ってなかったもん。

「何でまた……」

「昔から行ってみたかったんよ。お正月パリって書いたけどロンドンやからギリ行けんやん……」

「誰と行くの？」

「1人かや」

「何日間？」

「予定では1週間かな」

「1週間！？」

再びザワつく6人。その理由だって分かる。

メンバーの誕生日恒例の1人旅でもここまで長い期間は滞在しなかった。しかも私の誕生月は9月でかすりもしていない。

そう。東海オンエアとしては具体的な目的がなかったのである。

「じゃあAちゃんは再来週からフランスにいるの？」

「そうやね。てつやと私が入れ替わりになるの」

「YTFFは？」

「参加するよ。そのまま羽田から飛び立つ予定」

「そうか……」

でもA、U-FESからずーっと忙しかったもんな。としみつがそう言うと皆が頷く。

「せっかくの休みだげえ、楽しんで来いよ！」

「……うん、ありがとう！」

休みとは言うてないけどその気持ちが嬉しい。

もう1度言おう。休みとは一言も言ってないんだ。

こうして今、私はフランスはパリに来ている。

YTFFの当日は私が個人チャンネルの100万人突破の金の盾を貰うことになっていたし、他のクリエイターさんとのコラボステージがあって忙しかった。

日本を飛び立つのは数時間後なのにメンバーと話す暇はろくになく、記念写真を撮ったりはしたものの、まともに会話できたのは東海オンエアの出番直前、舞台袖に待機してからだった。

「もう話せんかと思った……」

「ごめんて！」

亮は明日もいつも通り仕事で最終の新幹線で早めに帰らなければならない。

「1週間も会えんから早めに充電だ！！」

「うぎゃっ」

会えない寂しさをぶつけるように、亮はギュウギュウに抱き着いて離れなかった。