君は今この空を見ているか (ページ50)

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♯ ページ50

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「んーっ、美味しーい！！」

「それは良かった」

マルゲリータを頬張って嬉しそうに微笑むAちゃんは子供のように無邪気だった。その笑顔だけでお腹いっぱいになる。

「あれやね、持つべきものは友達って感じやわ！」

……友達か。急に胸が痛くなった。俺は、俺はAちゃんのこと……、Aのこと、友達だなんて思ったことがないよ……。

「ふふっ、ありがとう」

つられて笑ったけど、心の中は灰色の雲が広がっていた。

俺の中ではずーっとたった1人の可愛くて愛おしい女の子。友達以上になりたい大切な人だ。

こんな気持ちにさせてくるのはAしかいなくて、でも今にも溢れそうな想いを閉じ込めるしかこの関係を保てない。

「亮くんと2人で食事するなんて思わんかったなあ。そもそも東海オンエアやったとも思わへんかったし」

「俺もだよ。徹也達と知り合いだったなんて聞いてない」

「俊光の紹介で2年前に知り合ったかな。でもあいつら亮くんには頑なに会わせてくれんかったの。もう1人のメンバーはイケメンでAが惚れるからって」

「俺も同じようなこと言われてた」

1人だけ女がいる。亮のどストライクだから会わせたくない。俺は会ってみたかったけど、あまりにもしつこく言われるもんだから成人式まで身動きが取れなかった。

実際はどストライクどころじゃなかった。とっくの昔に心を掴まれた相手だった。

「まっ、今は再会してお食事できてるし結果オーライかな」

「そうだね」

最低でも大学生になるまでは……
卒業式後の彼女の言葉を思い出す。もしかしたら一生会えなかったかもしれないし、両想いのままに別れたあの日を考えれば今は幸せだ。

「ねえ」

「ん？」

「……いたらぬことを聞くけどさ、Aちゃんは彼氏っているの？」

「おらんおらん！」

モテへんもん、とあっけらかんに笑った彼女にちょっと嬉しくなった。

「彼女にしたいなんて滅多に言われへんの。男やったら彼氏にしたいとは何回も言われるんやけどね」

遠慮のかたまりいただきまーす、と最後のピザを頬張る彼女に本音が漏れる。

「可愛くて優しい女の子なのに？見る目ないね、その人達」

「へっ？」

Aちゃんはジワジワと顔を赤らめる。ほら、やっぱり女の子じゃん。

こんなに可愛い子、友達止まりじゃいられないよ。