君は今この空を見ているか (ページ47)

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羨ましい羨ましい。俺も坂本選手みたいにAにデレデレされたい。

てかなんだ？来世も俺の奥さんになってくれるんじゃないの！？

1回も会ったことはないけど、Aをここまで虜にする魅力は坂本選手のどこにあるんだろう……
そりゃ顔は普通のスポーツ選手よりかっこいいと思うけど。

「昔はただただ若い感じやったけど、キャプテンになってからは自分が活躍してチームを引っ張るんだって気迫が伝わってくんの。首位打者なった時とかほんまに泣いた」

「FAで坂本が来たらドラゴンズ強くなるかな……」

「なんてこと言うてんねん」

虫さんとAの野球談話は延々と続く。坂本、堂上のどういうところがいいのか。

どうすればチームが強くなるのか。広島に勝つためにはどこを補強すればいいのか。割と深い所まで語り合っている。

「やっぱ課題は投手陣やんねえ……。特に中継ぎ陣。うちの巨人そこが悩み所やねん」

「ドラゴンズも！打線が繋がっても投手が踏ん張れなかったら終わるからねえ……」

「やっぱ補強だよな……」

「アホか。育成やろが！」

「今は若手育成の時代なんだよ？俊光は分かってないなあ」

「……何でこんな怒られた？」

助けて、と言わんばかりに俊光がシュンとして俺に問いかける。ごめん、野球はそんな分かんない。

「私も坂本選手に会いたいなあ……。虫さんみたいに始球式やるのもええかなって思ったけど、やっぱりょうみたいに1対1で対談したい……」

今度は俺が羨望の目を向けられる。

ファンレター企画がきっかけで俺はドログバと対談した。虫さんもGW中にナゴヤドームで始球式を実現させた。いわゆる『YouTuberドリーム』ってやつだ。

あの企画の時、Aは横山裕に書くかと思いきや、坂本選手に向けて愛のこもったファンレターを書いた。

『キャンプがよく分からず、広い会場内で迷子になっていた私に声をかけてくれたのが坂本選手でした』

メンバーも驚いたけど、東海オンエアを応援している諸々の巨人ファンも驚いていた。背番号6のユニフォームに着替え、『坂本勇人』と編まれたタオルを首にかけたガチ勢っぷりに。

「でもAちゃんも近いうちに叶うと思うよ？僕とりょうくんが叶ったんだら？」

そうかなあ、とAは目尻を下げた。願い続ければ絶対に叶うから、Aも諦めないでほしい。