君は今この空を見ているか (ページ31)

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飲み会の後、どうやって帰ってきたのか全く覚えていない。気付いたら1人暮らしの1Kの部屋で、ベッドの上で野垂れ死にするように眠っていた。

「いった……」

悪酔いしないなんて思っていたけど、体は正直だ。二日酔いで頭がガンガン痛む。慣れていないのに酒は沢山飲むもんじゃない。

新成人ならではの失敗に頭を抱え、無理して飲むもんじゃない、とこれからの教訓を胸に留める。

時計を見ればもうすぐ10時になる頃だ。普段は目覚ましなしでも気持ちよく起きられる。この時間は学校か休みの日は名古屋まで出て、新しい服の1枚や2枚を漁っている。時には近所をランニングしていたりもする。

でもすっかり日が昇っているのになかなか起きれなかった。……酒は人を狂わすって言うけど、マジだったわ。調子に乗りすぎた。俺、あいつらに恥ずかしいこととか言っとらんよな？聞くのが怖い。

既にグダグダな1日を送ろうとしている自分にムチを打ってキッチンに直行してコップに水を注ぎ、体の中に残ったアルコールを全て出し切るように一気に飲み干す。

iPhoneを確認するとしばゆーや増田から大丈夫か、とか、鍵はポストの中にあるから、とLINEが届いている。……それだけじゃない。

Aからも届いている。つい目を疑ってトーク画面に切り替えた。

『今日は会えて嬉しかったよ！
亮くんが東海オンエアやったのは単純にびっくりした(笑)
また会おうね！ご飯行こうね( ¨̮ )！』

それほど長くはない文面に愛おしさを感じるのはきっと惚れた弱み。顔文字使ってるなんて可愛すぎる。しかもアイコンは俊光も交えて3人で撮った笑顔の写真。こんなことで浮かれる自分はとても単純だ。

じんわり温かくなる胸に酔いも覚める。

『こちらこそ会えて嬉しかったよ！
俺もびっくりした。まじで綺麗だった。
そうだね、ご飯行こうね。行ける日教えて！』

社交辞令とは思わないよ。本気で捉える。

成人の日の朝は最悪な始まり方をしたけれど、ひょんなLINEのおかげで最高の1日になりそうだ。

今日は新成人を迎えられた自分への褒美に散財しよう。そうと決まれば準備しよう。