君は今この空を見ているか (ページ25)

今日:24 hit、昨日:0 hit、合計:141,977 hit

バカ可愛いページ25

.

プロポーズから1週間が経った。

俺にとっては前もって計画を立ててAや自分の両親、前の職場やUUUMの関係者に挨拶していたし、プロポーズは事前に用意したものだった。

でも視聴者さんから見れば生配信中に突然乱入してきてのものだったから、リプを通してあれはなんだったのか、と大量の質問を貰っていた。アーカイブも残していないし混乱もする。

でも婚姻届を書いている段階で話せることはない。Aや関係者とは提出するまでは何事もなかったかのように日常をツイートしようと決めている。

そんな中で俺達は大阪の実家の方へ挨拶に来ていた。

「楽しみやあ」

そう言ってニコニコしている彼女。俺もだけど、今日は初対面なんだよね。

玄関の呼び出しベルを押すと中から出てきたのは理絵さんやお父さん、りゅうくんやお兄さんではない、小柄で可愛らしい女性だった。

「お嬢久しぶりー！」

「王子お久！入って入って！」

「いや、ここうちの実家！」

……仲良いな。Aのことを王子って呼んでる人、久々に見た。メンバーもたまに呼んでるけど、大体はAかAちゃんだからな。

「お邪魔します」

「あっ、初めまして。王子の婚約者の方ですよね……？」

王子の婚約者。その言い方だと語弊がある。

「そうです。東海オンエアの福尾亮です」

「ふふっ」

照れているのか面白がっているのか、多分後者のAは堪えきれずに笑いを漏らす。

「王子の婚約者って、どう考えても亮が女側やん。こんな男おとこしてんのに！」

「……笑かすな！うちも言ってすぐ思ったからな！」

お嬢と呼ばれる女性はバシッとAの肩を叩く。やっぱり高校の同級生の輪の中には入れんなあ。

2人のワチャワチャを眺めながら中へ入ると、一昨年来た時とは違ったカラフルな家具や小物が置かれたリビングになっている。

「あ、おるおる！」

「おりますよー」

畳の上に敷かれた布団の中で起きたばかりなのか、ママを探してキョロキョロ目を動かす赤ちゃん。お嬢さんが抱っこすると、ポケーっとつぶらな瞳で見つめる。

「バカ可愛い……」

「やろ？」

おばちゃんだよー、とAはお嬢さんから赤ちゃんを受け取り、慣れたように上手に抱っこする。

実はプロポーズの直前、3日前にお兄さんとお嬢さんの子供が生まれていた。