君は今この空を見ているか (ページ17)

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♯ ページ17

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「続いて、眉をやっていくんですけどブルゾンさん最近メイクしていなくて、眉毛がカーブかかっててメイクしずらいので、整えていきましょう」

てつやは洗面所の方へ走った。

「ねえ、てつやー？えっ、眉弄られるの……？」

これでやりやすいんじゃないの、と虫さんは戸惑いを隠しきれないのか、かなり困ったように私達3人を見つめる。でもてつやの言い分も一理あるんよね。

「ちえみさんって一直線で眉頭が太い困り眉やからさあ、確かにカーブかかっとるとやりずらいかな……」

アイブロウを使って自まゆげに書き足していけば上手いことカバーできるけど、さっきのあの様子を見とったら無理っぽい。

「まっ、どうにかなるでしょ！」

「ええ、Aちゃんが指導せんかったらてつや暴走しちゃうよ！？」

「その時はその時！！」

「ちょっと！メイク経験者しっかりして！？」

狼狽した虫さんは私の肩を揺さぶった。

「虫さん、どんまい」

としみつがニコッとしてそう言うからまた笑えてくる。うるせえ、と虫さんの鋭い叩きが決まった所でてつやが眉毛シェーバーを持って戻ってきた。

「よし、撮影再開だー！気を取り直して……、眉毛がね、フサフサになってるので、これで削ぎ落としていきます」

「てつや！？切りすぎんでよ！？」

大方の予想が当たってきた。被検体にならんで良かったと思わずにはいられない。

シェーバーが虫さんの眉尻にあてがわれ、ジーッと機械音を立てて毛を削いでいく。

「ちょっと目、閉じて？」

てつやが息を吹きかける。どうなったのか気になって虫さんの顔を覗き込んでみれば……、

「あーー！！」

見学者から悲鳴に近い驚愕の声が上がる。虫さんもモニターを確認すると驚きと落胆が混じったようにあー、と嘆息を漏らした。

「紫式部作ってんじゃーん……」

やった張本人すらも笑う始末。虫さんの彼女ちゃん、しばらく彼氏が紫式部だけど許してほしい。
多分傷つくから笑わないであげてね。

てつやは1度ため息をつくと、アイブロウを使ってあの独特のブルゾン眉をそれらしく模倣していく。しかし……、

「歌舞いてない？」

モニターを見ながらそういう虫さん。

「ちょっとこっち向いて？」

りょうが半強制的に振り向かせると、その眉はやたら太いのに片方だけしょぼくれていた。