君は今この空を見ているか (ページ13)

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眠れない夜ページ13

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「おやすみ」

「うん、おやすみ」

ベッドに寝っ転がって目を瞑る。しばらくするとスースー、と小さな寝息が聞こえてきた。

新生活が始まって10日ほどが経って、徐々に同棲の楽しさに気づいてきた。ちょっと前までは一緒にいれない日々があってその温もりが恋しくなった時期があったのに、今では毎日一緒にいて同じご飯を食べて同じベッドで寝る。たまにはお風呂も入るかな。

多少の狭さは気になりながらも、窮屈さえも愛せる自分は実は深刻な亮不足だったのかもしれない。

あっという間に夢の中へ歩いていった亮に続き、私も眠りにつきたい。普段の私は亮よりも早く眠れるんだけど、今日はそんな訳にもいかなかった。

内側を針でチクチク刺されるように下腹部が痛む。時折感じる不快な粘り気がシーツに漏れてしまわないか、心配になってしまう。今月は腰にも影響を及ぼしているらしく、鋭痛と鈍痛のダブルパンチで目が冴えてしまった。

上手く眠れなかった私は亮を起こさないようにそっと起きて、メガネをかけて静かに寝室から出ていった。

腹巻きをしてUUUMデザインのパーカーを着る。

キッチンまで歩いて電気を付ければ、マグカップを準備してミルクココアの粉を適量入れる。ポットのお湯を注げば簡単なココアが完成した。

コップとスマホを持ってベランダに出る。生理痛で眠れない夜は、1人で外に出て音楽を聴きながらココアを飲むに限る。体を温めつつも冷やすのが好き。冬にこたつに入りながらアイスを食べるのと同じ原理だ。

「ふう……」

少しずつ薬が効いてきているのか、痛みは弱くなってきた。普段は重くないんだけどね。環境の変化があったから酷くなっちゃったのかな。生理痛がきついのは大学1年以来のことだ。

しばらくのんびりしていたら、イヤホンを取られて代わりに背中に温もりを感じる。

「何しとるん？」

ゆっくりとした口調に低い声。肩には彼の顔が乗る。少し前まで甘えるのが下手くそだった亮が、最近ちょっとずつ素直になってきているのが面白い。

「何もしとらんよ。お腹痛くて眠れんかった」

「……ああ、そういうこと？」

「うん」

じゃあここにおったらダメやん。ごもっともだ。

「体冷やしたらいかんし、戻ろっか」

「うん」

窓を閉め、私達は手を繋いで寝室に戻る。亮に抱きしめられながら私は眠りについた。