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小学5年で泣くことを思い出した。でも私には他にも大阪に置き土産があった。それは中学生になってからも取りに帰れていなかった。
『Aって作り笑いだけは天下一品に上手いよな』
『そうかな？』
『時々お前の笑顔が怖いもん』
俊光は至って真剣だった。
確かに学校にいる時は心から笑えていない自覚がある。ダンスやピアノをしている時間は楽しいし、夏休みに大阪に帰った時におとんに教えてもらうベースも楽しくて仕方がない。
でも笑えているのかと言われたら……、そうでもない気がした。部活は習い事と引き換えに入るのをやめたから友達の人数は少ない。
いつになったら心から笑いたいと思えるんだろう。そんな悩める日々を送っていた中1の夏、転機が起きた。
7月初旬、席替えが行われた。話せる子なんて少ないしどうせなら1番後ろの窓側の席がいい。でも黒板とくじ引きの数字を照らし合わせると、真逆の席に当たってしまった。
教卓前の席には話したことのないクラスメイトに囲まれた。しかもお隣は色黒の男子。確か陸上部だった。
『坂元Aです。よろしくね』
『福尾亮です。こちらこそよろしくね』
福尾くんっていうんだ。名前すらも知らなかった彼がその後の学校生活を大きく変える。あの日の私は知る由もない。
最初こそ他人行儀だったものの、彼が人懐っこくて気さくだったし話が合うのもあってあっという間に距離が縮まった。
『Aちゃんと話してるとバカ楽しいよ！』
一緒に出かけた日、屈託のない笑顔がじんわり心にしみた。
福尾くんは太陽、晴れた空だと思った。どんな時でも笑顔を絶やさず、なんなら周りを笑顔に巻き込んでいく。明るく照らしてくれる。
『そんなん言わんでよぉ……』
『えっ、どうしたの！？』
彼といればどんなに厚い雲が広がっていても雨が降っても、絶対に晴れに変えて虹をかけてくれる。
『もうね、学校楽しないし不登校なってやろう思うてたけどさあ……、ふくおくんのせいでなられへんやんかあ……っ』
『……そうだったんだ。ごめんね。Aちゃんの気持ち、全然気づけんかった』
少し大きな手が頭を撫でる。余計に涙が止まらない。
でもね、
『今度からは俺がおるよ。絶対に楽しませるから！』
『……うん！』
大阪に置いてきた心からの笑顔は愛知で取り戻した。
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あおやなぎ(プロフ) - みぃさん» ありがとうございます！ MIYAVIさんのギターと元の動画を見た時に書きたいと思った自己満です^^; 楽しめていただけたなら嬉しいです(^^) (2019年4月14日 9時) (
レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - MIYAVIさんファンとしてはプチMIYAVI選手権楽しかったです！ (2019年4月12日 23時) (レス) id: b1b76353f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年3月21日 22時
